メルカリのデータ分析チームが熱い! 個性的過ぎる3人がメルカリを選んだ理由

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森田雄&林真理子「Web系キャリア探訪」

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メルカリのデータ分析チームが熱い! 個性的過ぎる3人がメルカリを選んだ理由

メルカリのデータ分析チームが熱い! 個性的過ぎる3人がメルカリを選んだ理由

「メルカリ」このアプリを知らない人はもはやほとんどいないだろう。メルカリの登場は消費者の購買行動を大きく変え、中古品の感覚を一変させてしまった。そんなメルカリのデータ分析を行うBIチームのデータアナリスト3人が今回の主役だ。

BIチームのマネージャでチーム作りを推進する樫田光氏、バックエンドエンジニア、フロントエンドエンジニアのキャリアを経た石田祥英氏、データ分析の豊富な経験を持つ新保直樹氏の3人は、それぞれどのようなキャリアの変遷を経て、メルカリにたどり着いたのだろうか。

Webが一般に普及してすでに20年以上が経つが、未だにWeb業界のキャリアモデル、組織的な人材育成方式は確立していない。組織の枠を越えてロールモデルを発見し、人材育成の方式を学べたら、という思いから本連載の企画がスタートした。連載では、Web業界で働くさまざまな人にスポットをあて、そのキャリアや組織の人材育成について話を聞いていく。

感覚ではなく、データに基づいた意思決定を支援する

林: まずは、BIチームの役割・ミッションについて教えてください。

樫田: ビジネスにおけるさまざまな判断や意思決定を、人間・個人の感覚だけでなんとなく決めるのではなく、データや数値を使って正しく行えるようにすることが我々のミッションです。中長期的な経営判断もあれば、施策を打つターゲットの選定や優先順位付け、アプリのUIをどう変更するか、といった事業に関わる幅広いテーマに対して、データ分析でアプローチしています。

メンバーは、それぞれ割り当てられたプロジェクトに所属して仕事をしており、席もプロジェクトチームの方に置いているため、BIチームとしてはバラバラに座っています。チームメンバーは今10人くらいで、今回は特に経歴のおもしろい二人を連れてきました。新保は、長年データアナリストをやってきたプロフェッショナル、石田は未経験ながら素質を評価して採用したポテンシャル枠です。

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メルカリBIチーム 樫田光氏

林: ポテンシャルって、どのように評価しているのですか?

樫田: この仕事は扱っている範囲が広く、経営、売上、UI改善、顧客満足度向上、コスト削減など、いろいろな分野に対応しなければなりません。全てに精通している人はいないので、特定の知識というよりは次のようなベースとなる素地を主に評価しています。

  • 新しいことに挑戦するマインド
  • ゼロから物事をキャッチアップする力
  • 論理的・構造的な考え方で答えを導き出す能力
  • 数字に対する勘所

林: 採用時は、面接やテストでそれを判断するのですか?

樫田: 面接で話をすれば、論理的な思考回路を持っているかどうかはわかりますね

林: テストではなく、コミュニケーション過程で力量を測るということですか?

樫田: もちろん技術的なスキルも重要です。ただ、たとえば分析に必要なコーディングなどは学べば割と短期間で得られるスキルですが、地頭の良さのようなものは、学んでも一朝一夕で得られるものではないので、そこは面接時点である程度以上の基準を満たしてしていることを期待しています。

林: 具体的にどのような面接をするのでしょうか?

樫田: たとえば、メルカリに入社したい理由を論理的な説得力を持って話せるか。あるいは、具体的な課題をあげて、どういうアプローチで解決するか、聞いてみます。ロジカルな人は真を突いた答えの導き方をしますが、そうでない人は感覚的に解決しようとします。

スキルを身につけて、成長できる場が「メルカリ」

林: 石田さんはメルカリに入社してどれくらいですか?

石田: 入社して5か月です(取材は2018年12月)。

林: 入社して比較的まだ日が浅いですね。どういう経緯でメルカリに入社したのですか?

石田: 大学院を卒業するタイミングで、就職か起業か悩んでいました。起業するには、エンジニアリングのスキルと、ビジネスを成長させるスキルの両方が必要です。知識も情報も足りていないので、まずは力を蓄える必要があると感じました。

そこで、卒業後バックエンドのエンジニアとして、大規模配信サービスの会社に入社し、その後転職して、アプリのフロントエンドの開発を担当しました。技術は身につけたので、次はビジネスです。意識したのは、ビジネスの成長の再現性です。

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「自分がやりたいことを実現するために会社選びをしている」と石田さん

石田: 「事業の成長」って再現性を見出すのが難しく、一種のアートだと言われることが多いと思います。そんな中でも整理してよく考えて行くと、一種サイエンス的に再現性を確保できる部分もあると考えました。「再現性を担保して、ビジネスを伸ばすスキルを確立したい」と思っていた時、メルカリのBIチームの記事を読みました。事業開始前のインパクト分析、実施後の効果、要因分析などかなり力を入れて行っていることを知り、興味を持ちました。

自分がやりたいことを実現するために何が必要か考えて会社を選び、今はメルカリのビジネスを伸ばすことに全身全霊を捧げています。

森田: 石田さんは、メルカリ後のプランを決めているのですか?

石田: 最低限、達成したい目標はあります。次にやりたいことは決まっていて、それがメルカリの中でできればチャレンジしますし、そうでないのなら外に出ることもあるかもしれません。

森田: 30歳前ならではの自由さがありますよね。しみじみと感じました。

機械学習でビジネスを大逆転できるケースは少ない

森田: 新保さんはどういうキャリアを経てメルカリに入社したのですか?

新保: 元々大学院時代に素粒子のデータ分析をやっていたこともあり、新卒では知識が活かせる技術コンサルティング会社に入社しました。私はその中でも先端の情報技術で人の意志決定を支援することをミッションとする部署で、機械学習のR&D、マーケティングリサーチなどの業務を行っていました。

レコメンドシステムや機械学習の研究開発を関わった際に、「この領域は今後世の中を大きく変える」と傾倒しました。これは2009年頃のことで、まだビッグデータブームが来る前で殆どビジネスにはなっていない領域でしたが、「5年後には来る」と信じてやっていたら、ブームが来ました。

ただ、仕事はおもしろかったのですが、支援会社の立場では、施策を実行以降の継続的な改善に深くコミットできないこともあり、自社プロダクトを持っている事業会社に転職することにしました。

林: 次はどこへ?

新保: 転職サイトを運営しているリブセンスに入りました。Webサービスは、PDCAを回しやすい環境にありますし、当時のリブセンスは分析チームを新たに立ち上げるフェーズで、裁量が大きいことが魅力でした。

入社した後の最初の2年くらいは、求人のレコメンドアルゴリズムの開発や求人の並び替えなど、機械学習施策のプロジェクトのリードやクチコミサイトのユーザー行動分析をやっていました。その結果コンバージョンレートが大幅に改善され、機械学習やデータ分析が実ビジネスで価値を発揮して利益に直結することを実感しました。ただ、同時に限界も感じました

林: 限界とは?

新保: 機械学習でプロダクトの質精度は上げられるけど、多くの場合はプロダクトのコアバリューや、ビジネスの成否を決める部分にまで踏み込むことが難しいということです。つまり、「売上を数パーセント伸ばすことができても、2倍、3倍にはならない、大逆転は起きるケースは少ない」ということです。どちらかというと機械学習は、すでに勝っているプロダクトが競合を引き離すための「強者の戦略」として有効だと思っています。

当時関わっていたプロダクトが成熟期にあり自然成長が見込めない中で、更に伸ばしていくにはどうしたらいいのかが課題でした。そんなときに出会ったのが「UXデザイン」です。データを最大限活用してプロダクトデザインの段階から関わる必要があると考え、一度データ分析から離れて、UXデザインを一から勉強して1年後に社内でUXデザインチームを立ち上げました。

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「機械学習で既存プロダクトに付加価値をつけても、大逆転が起きるケースは少ない」と新保さん

林: 同じ会社内でデータアナリストからUXデザイナーに転身したんですね。その後は?

新保:UXデザインのプロジェクトが一段落した時に、樫田から、「メルカリでこんなポジションがあるよ」という話を聞きました。当時、転職活動は全くしていなかったのですが、関わっていたプロダクトは転職サイトの性質上、ユーザーが、企業に応募した時点でデータが終わってしまう点に、データアナリストとしてやや物足りなさを感じていました。

一方メルカリは、ユーザーがずっと使い続けますし、通常のECと違い買ったものをまた売りに出すことあります。ユーザーのログがずっと続くということに惹かれました。データの密度が高いので、データを通して世の中の人がどんなことを考えているのかわかるかもしれないと、最初は仕事というよりもデータへの好奇心からメルカリで働くことに興味を持ちました。

技術力で勝負決めるサービスよりも、プロダクトの魅力でメルカリに

森田: 転職サイトの機械学習レコメンドがメルカリを推してきたわけではないのですね(笑)。

お話を聞いていて感じたのは、転職のレコメンド精度が上がると、人が次の転職をしなくなるというジレンマです。極論を言えば、レコメンドの精度が上がるほどリピートされなくなる分野なのかなと。他のマッチングサービスでも言えると思いますが、データ分析で大逆転はない、というのはその側面もあるのかなと感じました。

新保: 機械学習で「勝てる領域」と「そうでない領域」があると思います。勝てるのは、Googleなど精度がサービスに成否に直接関わるような領域です。メルカリにおいても商品のレコメンド精度は当然重要ではありますが、現時点ではプロダクトの成否を決める決定的要因ではありません。

また自分は機械学習やデータ分析そのものも好きですが、技術を極めるよりも良いプロダクトを作る方に興味がありました。そう考えたときに自分のこれまでの経験とスキルを活かして、プロダクトの機能設計やグロース戦略を関わることができるメルカリは魅力的だと思ったんです。

樫田: 新保は、彼が入社するだいぶ前から知り合いでした。分析経験の豊富さに惚れて誘っていたのですが、入社が決まる前に、本人が「自分がやりたいことは単なる分析だけではないがそれでもいいか」、ということを言ってきました。一つの専門性ではできることに限界があることも事実なので、彼のスキルが活きるロールモデルを用意するという話をして、入社に結びつきました。

メルカリのデータ分析チームが熱い! 個性的過ぎる3人がメルカリを選んだ理由

戦略コンサルとして活躍後、起業に参加

林: 樫田さんのお話も聞きたいです。事前に調べてみたら、Web上にある記事などのアウトプット量がすごいですよね。チーム作りのノウハウなども密度の濃い情報でした。

樫田: 大学卒業後はまず外資系の戦略コンサルティングファームに入社しました。優秀な人と働けて密度の濃い4年でしたし、戦略コンサルタントとしての基礎的なスキルを身につけることができました。

たとえば、数字や事実に基づいた経営分析もその一つです。どういう分析をすれば何を証明できるか、証明するためにはどういう数値が必要か、経営に重要な指標は何かなどを徹底的に叩き込まれました。

そしてもう一つ、考えたことを人にいかにうまく伝えるかという、アウトプットの方法の重要性も学びました。このアウトプット重視の姿勢は今も続いていますね。そこで働いた後は、大学時代の友人から、起業するから一緒にやろうと言われそこに参画しました。

希少性と価値は比例する。希少性にキャリアをかけた

林: 参画を決意したのは事業プランが魅力だったから?

樫田: 何をやるかは詳しくは聞いていませんでした。

森田: 誘う方も相手を考えての価値観なんでしょうね。

樫田: 事業がこうだからやりたいというよりも、世の中は希少なものほど価値が高いという考えが強かったです。何にキャリアをかけるかを考えた時も希少性で判断しました。

当時まだ20代なかばで、「自由もある、失敗してもまだやり直せる」。このシチュエーションはこの先の人生にはない希少なものだと感じましたし、友達の起業に参加するというのも希少な経験ですからそこにかけてみようと。

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「希少性と価値は比例する。希少性にキャリアをかけて起業した」と樫田さん

森田: その会社はどんな会社で、どうなったんですか?

樫田: モバイル系のビジネスで、アメリカで流行っているスマホサービスなどをリサーチして、同様のビジネスモデルを日本の企業と一緒に作るという、一種のタイムマシン経営的なコンサルの会社でした。その会社を辞めたあとは、半年間ほどニートをしていました。

インプットとアウトプットのフェーズを交互に持ちたい

林: ニートというのは休養期間だったのでしょうか。

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林真理子(聞き手)

樫田: 当時、起業で疲れていて新しいことをやる気力がなくて、自分が持っているスキルを活かせる楽な仕事として、またコンサルティングファームに入社するつもりでいました。しかし、それまで自由だったせいもあって、満員電車にスーツというのが嫌でたまりませんでした。

入社を予定していたのは、知り合いの会社だったので、事情を話して正社員として入社する話は取り消してもらい、そこで3か月くらいプロジェクトをアルバイトとして手伝うことで、なんとか…。迷惑な話ですが。そのあとはしばらく本当に全く仕事をいていない状態でした。

森田: 会社も合う環境を提供できなかったということだと思いますし、辞めるなら早く言ったほうがいいので迷惑じゃないですよ。

石田: コンサルティングファームは、自分の思うようにできないということがネックだったんでしょうか。

樫田: コンサルがダメってわけではなくて、1社目のファームで働いていた時は、毎日超楽しかったですよ。ただ起業していろいろな生き方があると学んだことと、人生にはインプットとアウトプットのフェーズがあって、それを交互にすることがいいと思ったことです。

最初のコンサルティングファームは初めてのことで全てがインプットのような環境でした。次の起業では、そこで得たものをアウトプットして稼ぐのに必死で、インプットする時間はほぼありませんでした。次のコンサルティングは一度経験しているので新しいインプットはほぼないことはわかっていた。

圧倒的なインプット不足のカラカラの状態で水のないところを選んでしまったんですね。それなら、好きなことを勉強するインプット期にするべきと気づきました。

何を始めるかを考えた時、ちょうどデータ分析のブームで、2013年「データサイエンティストは最もセクシーな職業」と言われていました。自分もコンサルティング時代にもデータ分析が好きだったので、この機会にその分野でプロフェッショナルになりたいという気持ちがありました。

そしてもう一つ、今の時代なら最先端のウェブサービス企業で仕事がしたい。でも、そこで自分は何ができるんだろう、と考えました。エンジニアではないので、Googleのようなテクノロジーカンパニーに入ってもおもしろくないだろう。起業してサービスを作るか…。でも当時すでに29歳で、イチから学んでエンジニアになるほど悠長な時間はなさそうだ。ならば、エンジニアが作ったプロダクトをデータ分析でよりよくする仕事がいい。それにより深く関わるためにアルゴリズムやプログラムの勉強もしましたし、インプットフェーズのキャリアによい選択だと思いました。

メルカリは10年に一度に現れるかどうかの希少な会社

林: それでメルカリに?

樫田: いえ、その後、ブレインパッドというデータ分析を専門にしている会社に入りました。ブレインパッドは良い会社で、分析を極めるために最低でも3年は働くつもりでした。しかし、入社後しばらくしたころに、メルカリで働かないかという話があり何度か断ったのですが、その後1年ほど経って結局はメルカリに入ることに。

林: なぜ、一度は断ったメルカリに入社する決断を?

樫田: そこでも希少性を考えました。ブレインパッドで3年ほど経験を積んだあとに、そのタイミングで一番勢いのあるIT企業に入ればいいやとなんとなく思っていましたが、その考え方で選択できるのはきっと「3年に一度」レベルの会社なんですよね。

メルカリはどうかというと、誘われる中でいろいろな話を聞いて、これは「10年に一度出るかどうかの会社」ではないかと思いました。自分で勝手に引いたキャリアスパンを優先するよりも、今10年に一度の会社と出会ったタイミングを大事にしようと思いました。

林: 入社したタイミングで、BIチームへと言われていたのですか?

樫田: 2016年4月に入社しましたが、それまでデータ分析を担当していた方が米国赴任になるので、一人で始めるという話だったのですが、入社したらすでに3人いるんですね。自分も入れて4人なので誰かがチームをリードしなければならないので、自分がリーダーになり、その後マネージャになってチームを作っていきました。

メルカリのデータ分析チームが熱い! 個性的過ぎる3人がメルカリを選んだ理由

森田雄(聞き手)

森田: チームを作るというのは具体的にどういうことをやるのですか?

樫田: 主に採用ですね。単に人を増やすのではなく、初めて取り組む分野でも一から分析できる人、メルカリの事業に気持ちを燃やせる人、人柄がいい人、そんな人を集めたいと思っていました。

そんな人材を採用するためには、マネージャの自分が超本気で取り組まなければいけません。自分がメディアに露出して、Twitterも始めて、まずはメルカリのBIチームと、チームのヘッドの自分が知名度を上げて、だれもが来たくなる組織としてのブランディングをきちんとしようと思いました。

メルカリでもダントツで評価が高いマネージャ。その組織づくりとは

石田: メルカリではチームメンバーがマネージャを評価するシステムがありますが、樫田さんは5点満点中4.9点で社内のマネージャの中でもトップのスコア。メンバーからの信頼が篤いですし、組織を大きくする、社内での地位を上げる、分析環境を良くするといったことをすごくやってくれています。今回の取材でも僕らを出す後押しをしてくれました。

BIチームは組織横断で仕事をしますが、どのチームに誰が最適なのかを考えて配属してくれますし、配属後もそのチームのプロダクトマネージャと直接話しをして、ここがいい、ここが弱いというフィードバックをくれます。組織づくりに尽力されているとそばで見ていて感じます。

メルカリのデータ分析チームが熱い! 個性的過ぎる3人がメルカリを選んだ理由

樫田: 自分は、師弟関係のような、上が下を丁寧に引き上げるマネジメントスタイルがそこまで得意ではないかもしれません。必要以上に面倒はみない、細かいことは教えない、谷に突き落とすから勝手に育ってくれというタイプです。ただ、どの谷に落とすかは、その人のスキルに合わせて考えていますし、本人が気づかない程度に影からちゃんと見守ってはいます。

林: それぞれ各プロジェクトの方で仕事をしているということですが、チームとしてはどういうタイミングでコミュニケーションしていますか?

石田: 週に1回BIチームのミーティングがあり、分析の知見の共有やレビューなどを行っています。一人2分で現状を話して、その後2分でメンバーからフィードバックするようなスピーディーで効率的なやり方です。

樫田: あと、マネージャの僕は週に1回メンバーそれぞれと1on1で30分話すようにしています。そこで今何やっているかを把握しています。

石田: すごく任せられている感じあります!

メルカリのデータ分析チームが熱い! 個性的過ぎる3人がメルカリを選んだ理由

最高のデータ分析チームを目指して

林: 最後にこれからの展望を。

新保: メルカリは、分析環境が整っていてデータに基づいた意思決定をする文化が根づいています。特に定量データの活用については国内有数だと思います。一方で定性データの分析についてはまだまだこれからです。今後は定量・定性データ分析の両面から意思決定を支援できる体制をつくっていきたいです。

石田: メルカリは、データ分析チームもスペシャリストがそろっていますが、実はその基盤を整える専属エンジニアもすごいんです。本当に活用されるデータとその分析基盤を造りたい方や、ビジネスの生の意思決定を一緒にリードしていきたいエンジニアには、本当に魅力的なポジションだと思います。

樫田: 最高の分析チームを作りたいですね。100人データアナリストがいたら、100人ともが「データ分析をやるならメルカリが一番だとおもう」と答えるような名実伴った最高のチームに育てたいです。

メルカリのデータ分析チームが熱い! 個性的過ぎる3人がメルカリを選んだ理由

――ありがとうございました。

二人の帰り道

林: 終始聴き入ってしまう、三者三様のキャリアの歩み方。ここは思い切って、最も若手の石田さんのキャリアに絞った考察を述べます。(1)学生時代から就職と起業を選択肢に挙げ、(2)自分の不足点を具体的に特定して、それを獲得できる就職先を選び、(3)それを短期集中で着実に身につける仕事・学習経験を積んで転職、(4)それでいて、焦って自分の立てた計画にがんじがらめになることなく、職場で遭遇する未知の挑戦・機会にオープンに向き合う、本当にすごいなぁ…と感服することしきりでした。

「いつくらいには、次に転職」ってプランもあるのか尋ねてみたら(上司の前で訊くなという話ですが…)、「期間ではなくて、身につけたいものが身についたかという要素で判断する」という答えが返ってきて、(5)自分の成長をモニタリングしながら仕事していることも伝わってきました。

さらに、「次の要素がメルカリでできるようになったら、それも一つの道」というように、場合によっては自身の働きかけなどで、そういうポジションをここで生み出していく可能性も示唆。「キャリアの80%は予期しない出来事や偶然の出会いによって決定される」ってクルンボルツ博士の理論があって、キャリアは好奇心や柔軟性をもってオープンマインドで形作っていくのが吉と言われますが、これを地で行く感じで、この先も楽しみなキャリア話を伺えました。

森田: 御三方ともしっかりした経歴のうえ、着実に経験値を積み上げていて、実に感心することしきりです。今どきのWeb系界隈では、こういうちゃんとした凄い人たちというのがわりと普通というか、むしろなんで僕は今ここにいるのだろうという気にさえなってくるんですよね。もはや自分に違和感しか覚えないというか(笑)。

僕がWebの仕事を始めた当時は、高卒のフリーターとか、普通の会社に馴染めなかった社会不適合者みたいなのがたくさんいて、もちろん僕もその一人なんですが、本当にたまたま、インターネットの最初から仕事でやっていたから今もここにいるみたいなところがあると思います。でもそれって、裏を返せば20数年の経験値しか武器がないし、その武器のほとんどはもはや故事成語か都市伝説なんじゃないかってくらい廃れた技術ばっかりで。正直この先どうしたらいいんだろうって悩んでますね。じゃあいざ転職だとか思った時に、こういうちゃんとした凄い人たちと転職市場で戦わなければならない、勝てる要素は年の功だけというのが逆におもしろい。

御三方がWeb系界隈にいらっしゃることは、日本の将来を鑑みるに大変心強いけれども、僕自身も将来の日本から必要とされるためには何をすべきなのだろうと、本連載のどれにも増して感慨深くじっと手を見る僕なのでした。

本記事は Web担当者Forum で公開された記事を転載しています。

株式会社 深谷歩事務所 代表取締役 深谷 歩
株式会社 深谷歩事務所
代表取締役
深谷 歩

ソーシャルメディアやブログを活用したコンテンツマーケティング支援として、サイト構築からコンテンツ企画、執筆・制作、広報活動サポートまで幅広く行う。Webメディア、雑誌の執筆に加え、講演活動などの情報発信を行っている。
またフェレット用品を扱うオンラインショップ「Ferretoys」も運営。