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株式会社ピクスが生みだす16:9の枠にとらわれない演出とは? ~01:仕事の器を広げ続けるプロデューサーにインタビュー!後編 ~

株式会社ピクスが生みだす16:9の枠にとらわれない演出とは? ~01:仕事の器を広げ続けるプロデューサーにインタビュー!後編~

前編に続き、株式会社ピクス/チーフプロデューサーの諏澤大助氏にインタビュー
プロデューサーとしてのターニングポイントになったというプロジェクションマッピングについてもお伺いしていきます。

2012年に諏澤さんが映像制作を担当された東京駅丸の内駅舎のプロジェクションマッピングは大きな話題を呼びました。手がけることになったきっかけは何だったのでしょうか。

プロダクションマネージャー時代に仕事をしたプロデューサーから「東京駅の復興工事の完成を祝う映像ショーをやらないか」と持ちかけられたのがきっかけです。面白そうだし、チャンスと思い、「やります!」と即答しましたね。 当時はプロジェクションマッピング自体がまだ世の中に知られておらず、経験のあるクリエイターも国内にはそう多くいませんでした。
予算も潤沢ではなかったので、CGを制作できて演出もできるクリエイターの中からアニメーションに精通した人、音楽と映像を融合させた演出が得意な人、突飛なアイデアを出してくれる人など、得意分野の異なるクリエイターを5人選ぶところから始めました。「駅舎」「電車」「100周年」をお題に自由にやりたいことを考えてもらった中から構成を考えていったんです。最終的には蒸気機関車の時代から未来に向かって歩む東京駅というテーマで約10分間の映像作品に仕上げました。

TOKYO STATION VISION / 東京駅 プロジェクションマッピング
© East Japan Railway Company / NHK Enterprises

初めての試みで大変だったことも多かったのではないでしょうか。

大変でしたよ(苦笑)。当時は、まだ駆け出しのプロデューサーで、プロダクションマネージャー業務も自分で行なっていた時代でした。それに、個性やキャリアの異なるクリエイターを集めて一つの作品をつくること自体がまず難しく、デザインの修正や投影機材の調整などに4ヵ月かかりました。
おかげさまで反響は凄く、ここまで話題になるとは思っていませんでした。今までの映像制作人生で一番印象に残っている作品は間違いなくこのプロジェクトです。これを機にプロジェクションマッピングを数多くやらせてもらえることになり、これがプロデューサーとしての自分の武器にもなりました。

株式会社ピクスが生みだす16:9の枠にとらわれない演出とは? ~01:仕事の器を広げ続けるプロデューサーにインタビュー!後編~

当時世界初となる日本の城を使ったプロジェクションマッピングも手がけられています。

「プロジェクションマッピング“はるか”」は、東日本大震災の復興支援イベントの一環で、被災された方々に笑顔になってもらおうと企画されたものです。
プロジェクションマッピングは、建物の形状に合わせて映像を投影する必要があり、城特有の屋根や凹凸、影になる部分も綿密に計算する難しさがありましたが、おかげさまで好評で、2013年から毎年、福島県内で場所を変えて行われるようになりました。

fukushimaさくらプロジェクト はるか2019 戊辰の風 花の雲 ~森公美子と歌う 「花は咲く」~
© 2019 SAKURA PROJECT / NHK ENTERPRISES

地域の経済効果も期待できそうです。

最近では関東圏以外からのプロジェクションマッピングの依頼も増えていて、街の賑わい創出に一役買っています。国体を盛り上げたいと福井県庁から依頼が来ましたし、アイスリンクや水族館、テーマパークでのプロジェクションマッピングも手がけました。 東京スカイツリー®はタワー自体にマッピングしたのをはじめ、広場や壁面、渡り廊下など、その都度投影場所を変えて何度も実施しています。

社内に、こうした体験型の映像技術を生み出すテクニカルチームも在籍されてるとか。

テレビやWEBだけでなく、プロジェクションマッピングや屋外広告、展示会など空間演出を含めた映像ニーズが増えてきたなかで、設備面から「新しい映像体験」をトータルプロデュースするために立ち上げたのがP.I.C.S. TECHです。メディアアート、建築、空間デザインなどさまざまなバックグラウンドを持つエンジニアやプランナーから成るクリエイティブチームで、2017年には一般建設業許可も取得しています。こうしたテクニカルチームを持つ制作プロダクションはそう多くはありません。

株式会社ピクスが生みだす16:9の枠にとらわれない演出とは? ~01:仕事の器を広げ続けるプロデューサーにインタビュー!後編~

当社の制作部と連携して、様々な空間映像プロデュースを手がけています。2017年に制作した東京国際フォーラムのプロジェクトには私も携わりました。

東京国際フォーラム開館 20 周年記念イベント「光のアクアリウム」

屋内で複雑な形状の装飾パーツが多く、ただプロジェクションマッピングを投影するのでは映えない。そこで、TECHに在籍するテクニカルディレクターと相談して「この面白い空間を活かしてやったことのないことに挑戦してみよう」と、深海から船を見上げているようなイメージで、空間自体を巨大な水槽に見立てました。バルーンとLED、ロボティクス技術を組み合わせたイルカ型の飛行物体を飛ばし、当社の武器である映像技術と融合させた空間演出を行いました。都会の真ん中で光の海をイルカが泳ぐ、幻想的な空間になったと思います。

「映像体験」と聞くと、具体的にイメージしにくいのですが、どういったものになるのでしょうか。

ひと言でいえば、映像を通じてその空間にいることをライブ感覚で楽しんでもらうものです。映像を視覚だけでなく五感全体を使って味わい、観ることでその世界に入り込む…テーマパークにいる感覚でしょうか。

これらを制作する技術は、ミュージックビデオや映画とは違った技術や視点が必要になるのでしょうか。

映像を制作するうえでの違いはそれほどありません。プロジェクションマッピングはクリエイターもオーディエンスもその場で同じ空間を分かち合え、反応がダイレクトに伝わってくるのが作り手としてやりがいを感じられる部分ですね。
「良いものを作る」確固たる自信とキャパシティが必要だと思っています。

株式会社ピクスが生みだす16:9の枠にとらわれない演出とは? ~01:仕事の器を広げ続けるプロデューサーにインタビュー!後編~

諏澤さんがこれから目指すものは何でしょうか。

いま、仕事を通じて、オーディエンスの反応を見ながら学ばせてもらう機会がたくさんあるので、観る人をどう喜ばせられるか、さらに映像表現の可能性を追求し続けていきたいですね。また、チーフプロデューサーの立場としては、後輩の育成にも力を入れていきたいと思います。

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