映像業界の新たな挑戦領域と動画広告が変えるクリエイターの新常識。(後編)

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映像業界の新たな挑戦領域と動画広告が変えるクリエイターの新常識。(後編)

映像業界の新たな挑戦領域と動画広告が変えるクリエイターの新常識。<後編>株式会社IMAGICA IRIS

前編に続き、IMAGICA>の中村氏にインタビュー。
自分のミッションとは何か。派遣・フリーランス・正社員とさまざまな経歴を持つ中村氏に、映像業界から動画広告市場に挑戦するまでを語っていただきました。

クリエイターとしての働き方、技術力向上と葛藤

私自身の経歴は、音楽系学校を卒業し、音楽関連の仕事に就きたいと新卒社員としてIMAGICAプラス(現・IMAGICA Lab.)という映像プロダクションに入社しました。ただ、そこで配属となったのは映像編集部でした。正直、配属に関して戸惑いもありましたし、映像関連を勉強してきた同期とは、初めから大きな差がついていて劣等感の日々でした。主な業務は、先輩クリエイターのアシスタントとしてバラエティテレビ番組向けに毎日何百枚ものテロップ作成やテープデッキを扱う仕事です。自分のやりたい事はこれじゃないと思い入社後すぐに退職しました。
正直、もう二度とIMAGICAという企業と関わる事はないだろうと当時は思いました。

そこからは、いくつか企業にも属しましたが、フリーランスという働き方が自分に合っていたので、数年間はフリーランスの映像クリエイターとして働いていました。フリーランス時代には、クオリティに厳しい先輩、WEB動画サービスの先駆け企業の創業者の方々にも出会い、会社に所属しているとわからなかった1つの案件のありがたみや、プロジェクトの中での自分の動き方、クライアントとの信頼関係の築き方を教えて頂きました。YouTubeもまだない当時、先駆けWEB番組にも関われたので、WEB動画コンテンツの将来性も感じていました。

仕事は順調でしたが、技術的な成長には不安を感じていました。企業に属さないデメリットは、すぐ近くにライバルや仲間がいない事です。私は技術以外における組織の均衡をとる事が苦手な性格なので、技術を重要視してくれる派遣社員という働き方は自分に合っていた気がします。登録に向かった先はデジタルスケープ(現・イマジカデジタルスケープ)でした。ここでIMGICAグループと再会します。
エージェントの方は親身になって仕事の紹介や定期的なフォローもしてくれたので、出向先のIMAGICA TVでも技術的知見を生かす事ができました。その後は、外資系アニメ会社で約4年間、月に何百本もの海外作品のローカライズや、番組宣伝の作成を担当しました。ここでは、本当に編集スピードを鍛えられました。他の社員とどれだけ担当本数の差をつけられるかという謎のミッションを自分に課して、1つでも多くの有名作品に関わりたいと思いがありました。ただ、この頃感じ始めたのが映像業界の変化の遅さです。ソフトウェアは変わっても、自動化出来る部分が多くあると感じました。また、生産性に対して意識の低さ、挑戦や熱量を感じるも人も少なく、自分もこのぬるま湯に慣れてしまうのではないかという恐怖を感じました。不思議なことですがフリーランスの時はデータ納品していたのに、企業の中では、まだまだHDCAMというテープに収録して納品していました。新卒の時に覚えたデッキ操作がここまで役に立つとは思いませんでした。

中村将氏

考え方を大きく変えた、急成長を続ける広告代理店の働き方

初めて動画広告に触れることになったのが、その後就職したサイバーエージェント系列の広告代理店です。転職のきっかけは、プロモーション映像や番組宣伝を編集する中で、世に出たコンテンツがどれだけの人に届いているのか、日々の制作で「何が本当に正解なのか」を知りたいと思っていた気持ちと、IT業界の急成長の中で、新しいサービスを生み出すベンチャーで働く人々は、どんな意識で働いているのだろうという好奇心です。

広告代理店に入社してみて、映像業界との感覚の違いには日々驚く事ばかりでした。年功序列ではなく、若手にも裁量権を与え、自分が成し遂げたい事へのミッションを保ちながら働く姿。特に新卒社員が非常に優秀な事です。
サイバーエージェントの人事や育成制度は、自分の価値観を変え、その時の目標設計が「自分自身のミッション」を見つける事が出来ました。誰かが用意した仕事に対して「正解を探す事=仕事が出来る事」と思っていましたが、「問題を見つける事」が今後の働き方に重要と気付けました。

入社後は、スマホゲーム広告のコンペに参加させて頂きました。当時はまだ動画広告に参入している代理店も少なく、コンペに動画を作成して持ち込む企業もなかったので、事前に動画を作成し、クライアントが完成イメージを想像しやすくする事で受注に繋げる事が出来ました。
そこから、質と量に妥協する事なく制作を続け多くの案件を担当させて頂き、スマホゲーム広告の制作ノウハウがたまっていきました。現在のゲームPV制作や広告制作のご依頼も、この頃の経験があったからだと思います。

中村将氏

動画制作以外の効果に起因する部分を探求し、ひとつのゴールに辿り着く。

スマホゲーム以外にもダイレクトマーケティングの新規獲得系案件を数多く担当しました。効果の高い自分だけの動画広告制作メソッドを見つけ、効果改善に繋げていきました。動画広告はユーザーの反応がすぐに数値化されます。まずは広告指標をしっかりと理解する事が重要です。CTR、CVR、CPIといった用語を覚えることから始まりました。
この横文字3文字を知っているだけもクライアントの本質的課題を理解出来ます。さらにどのような動画を作れば、どの指標が大きく変わるのか、CTR 1%と2%、CPI200円と300円の間には大きな壁があります。
さらに自分で作った動画を自分で広告配信すると、どこまで改善出来るのかに興味を持ち、各媒体のスクールを修了し、アナリストの資格も取得しました。現在は、私の担当する案件は全ての媒体を自分で運用しています。
その後は、さらに購入行動の潜在意識の領域を知るために消費者行動心理やニューロサイエンスについても勉強しました。

動画コンテンツの制作、マーケティング手法への理解を深めるなかで、次第にクリエイター向けのセミナーに講師として呼ばれる機会が増えていきました。そこで多くのクリエイターから成長課題に関して相談を受けました。
自分と同じような悩みを抱えるクリエイターがいて、変革に対して諦めの気持ちを持ってしまっている事実がある事も知りました。動画を作る新規ビジネスが増えているのに、クリエイターの育成には焦点は置かれていないのです。「どうしたら映像業界に新たな市場価値を生み出し、成長市場で働く人たちのように意識高く仕事ができるのか」そのためには、映像業界に新たなビジネスモデルを作る事が必要と感じました。

中村将氏

イマジカグループ同期入社の根本敦史(現IMAGICA IRIS代表取締役社長)も同じく、IMAGICAの中で営業職としてクリエイターがモチベーション低下に悩んで辞めていく現状を変えたいと考えていました。そこで、ベンチャー制度を利用して設立したのがIMAGICA IRIS(イマジカ アイリス)です。弊社のミッションには、広告指標をもとに作られた最高品質の動画で消費者の欲しいを引き出し、映像市場と広告市場の成長を加速させる。そして、クリエイターにとって新たな市場価値を提供することを掲げています。

4月からサービスを開始したばかりの新生ベンチャーですが、他の映像企業からも注目されており、広告主、代理店、媒体など、様々な職種から多くのご相談を頂いております。弊社の社員育成制度はIT業界が成長してきた制度を基に作られおり、数字や結果、業界の成長に対して各社員がコミットしています。去年までテレビ番組のエディターだった社員は、今やクライアントに対して媒体特性や指標をもとに動画を提案するなど、めまぐるしい成長を感じています。

多くの革命的クリエイターが尊敬するポラロイド社のエドウィン・ランド氏の「文系と理系の交差点に立てる人こそ大きな価値がある」という言葉があります。
今後は、定性的にカッコ良いだけでなく定量的・数値的にもクオリティの追求をする事に大きな価値があると思います。現在の仕事に何か達成感が少ない、成長市場で挑戦してみたい、新しいサービスを作りたいというメンバーを募集しています。私たちはさらに成長を続け、映像や動画に関わる市場の中で存在感を高めていきたいと考えています。

To Creator編集部
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