常に最先端を進む。先を見据えて知識を手に入れ、Unityプログラマーを導き支える「インストラクター」の魅力

Unity
ゲーム
プログラマ

エンジニア

常に最先端を進む。先を見据えて知識を手に入れ、Unityプログラマーを導き支える「インストラクター」の魅力

常に最先端を進む。先を見据えて知識を手に入れ、Unityプログラマーを導き支える「インストラクター」の魅力

クリエイティブに特化した人材ソリューションを提供する当社は、2022年9月にUnity Academic Alliance(以下UAA)へ加盟しました。今後はUnityプログラマー、Unityアーティストの育成にも力を入れて取り組んでいきます。

Unityプロフェッショナル人材として産業界で活躍する技術者を育てるために欠かせないのが、技術者はもちろん、クライアントに対しても知識を伝えて教育を行うインストラクターの存在です。UAA教育プログラムを活かしたカリキュラムの作成、クライアントごとにカスタマイズした技術者トレーニング、トレーニング実施後のフォローなど、Unityプロフェッショナル人材が活躍・成長する環境を作り上げる重要なポジションです。

Unityのインストラクターとして活躍しているユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社の石井勇一氏・荒川巧也氏に仕事の魅力について語っていただきます。

石井 勇一氏
株式会社ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン
エデュケーションアカウントマネージャー
石井 勇一氏

大手IT企業にて、システム開発部門のメインメンバーとして、業務用ミドルウェアの アーキテクチャ設計から、開発、保守業務に関わる。その経験を活かし、教育研修のスペシャリストとして10年に渡り活躍。講習はプログラミング言語や組込みシステム、iOSやAndroidなどのモバイル開発 など、幅広い分野を担当、多くの講習実績を持つ。現在は、Unity教育プロジェクトにて活動中。日本語版のUnity認定試験およびコースウェア、トレーニングワークショップなどを担当している。

荒川 巧也氏
株式会社ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン
トレーニングマネージャー
荒川 巧也氏

日本工学院専門学校ゲームクリエイター科教員として、UnityやUnreal Engineなどの授業を担当。その後、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンで ”トレーニングマネージャー” として主に企業様向けにUnityに関するトレーニングの実施や効率的な実装方法のコンサルティング業務を行っている。

【著書】Unity2021入門 最新開発環境による簡単3D&2Dゲーム制作 (ひよこ本)

Unityの発展を支えるインストラクターは貴重人材

Unityの発展を支えるインストラクターは貴重人材

——まず、お二人が思う開発ツールとしてのUnityの強みはどんなところにあるとお考えでしょうか?

石井氏: Unityといえばゲームをイメージする方が多いと思いますが、強みはリアルタイム3D表示。建築系の企業など大量の3Dデータを持つ会社で、プレゼンテーションのために見せるVRコンテンツもUnityを利用しています。7年くらい前はヘッドマウントディスプレイを活用していましたが、実際に建築物が完成した際、建築系の企業担当者が「どこかで見たことがある景色だ」と思うほど、当時から既視感を感じる程のつくりになっていました。

これからは、スマートフォンのAR機能など、現実とVRを融合して見せることが一般的になるのではないでしょうか。例えば、アパレルの試着。その場で着替えるのではなく、リアルタイムでイメージを見せます。日常の中で、Unityで開発されたコンテンツを見る機会もますます増えていくでしょう。

ここで少しUnityの変遷について触れておきましょう。各社独自のゲームエンジンやゲーム開発ツールが並ぶ中、2004年にデンマークで創業した小規模スタジオが翌年にゲーム開発ツール『Unity』をリリースしました。
使用にあたっての守秘義務契約や個別システムへの対応が必要で、非効率な当時の開発状況を改善すべく、「もっとオープンでみんなが使えるゲーム開発環境」を目指し、「Democratizing Game Development(ゲーム開発の民主化)」というビジョンを持ってUnityの開発・普及させていったのが始まりでした。そして、2010年代に起こったiPhoneの普及とAppStoreの登場で、個人もゲームアプリをセルフパブリッシングできる時代が到来し、Unityは爆発的な普及を遂げました。
いまや全世界の新規モバイルゲームの50%はUnityで作られており、また全世界のモバイルゲーム売上上位1000タイトルのうち50%がUnity製です。
その背景には、ほとんどの機能は誰でも無料で利用できるツールであること、守秘義務を負うことなくユーザー同士で分からないことを質問・回答する世界であったというUnityの2つの大きな特徴がありました。創業当時と変わらず、これからもユーザーの皆さんと同じ目線で「Unity」を捉えて日々改善し、Unityを普及させたいと考えています。

——今後の活用シーンを広げるために、Unityユーザーを増やしていく必要があるのですね。

荒川氏: ビジネスの視点から、企業でUnityの活用シーンが増えていくのは良いことですが、一方で初めての取り組みや導入ではいろいろな問題が起きる傾向もあるため、最新の情報でサポートするのがインストラクターの役割だと思っています。インストラクターは10教えるために100の知識の蓄えが必要です。想定外の質問に対応できるように日々学び続けます。インストラクター一人で教えられる人数には限界があるので、もっと増えて欲しいと思います。
「知識がある」ことと「教える」ことは違うスキル。Unityの知識を持つことはもちろん、問題点を見抜けるようなスキル・経験も必要です。いわゆる「貴重人材」として、増えていって欲しいなと思います。今では、小学生のうちからUnityを触る人も増えているようなので、もしかすると小学生向けに教えられる人も必要かもしれません。企業のインストラクターにとどまらず、幅広く需要が高まっていくのではないでしょうか。

Unityの使いやすさ・分かりやすさ・ノーコードでも使える点が魅力

Unityの使いやすさ・分かりやすさ・ノーコードでも使える点が魅力

——これまでのご経歴をお聞かせください。

荒川氏: Unityとの出会いは2011年ころ、スマートフォンゲームを遊んだことがきっかけ。当時は半導体装置メーカーで仕事をしていましたが、ゲームが好きだったのでどのように作るのか調べていてUnityの存在を知りました。Unityをダウンロードしてみると3Dのオブジェクトをノンコーディングで画面に出せて、こんなに簡単にできるんだと思いました。それまでに、Xcodeなどでアプリを作ったことはあったのですが、その経験もありUnityには感動しました。

インストラクターになったきっかけは、Unityの勉強会で「教える側で一緒にやりませんか」と誘われたことです。その後、勉強会の内容を資料にしてインターネットで公開していたのを機に、『Unity4入門 最新開発環境による簡単3Dゲーム制作』という書籍を出版することにもなりました。そのうち、知人から日本工学院でUnityを教えられる講師を探していると声をかけてもらい、会社勤めのかたわら思い切ってチャレンジ。最初は非常勤講師として入職したのですが、途中から正職員として先生をしていました。5年ほどゲーム業界を目指す学生にUnityの基本的な使い方や、ゲームの作り方を教えていました。このような流れでUnityのインストラクターのキャリアにたどり着きました。キャリアに関しては本当にたくさんの人の協力やチャンスをいただいたと思っています。Unityに関しては、異なる職種からのキャリア変更ができるほど、使いやすい、分かりやすい、コードをあまり書かずに実装できるツールであることがUnityの魅力だと感じています。

石井氏: 私の場合は、当時はまだ珍しかったのですが、物心ついたときから親戚の家にPCがあり、田舎に住んでいて情報は少なかったものの、高校生の頃にはゲームプログラムに取り組んでいました。1990年ころ、ゲーム開発のための開発環境の敷居が一気に上がったのでプログラミングから離れ、大手電気開発系のSEとして10年ほど仕事をしました。次第にSE社員のスキルに疑問を感じることが増えてきたため、異動を願い出て社内研修を担当するようになりました。

転機は、スマートフォンの流通。やはりスマートフォンゲームの隆盛がすごかった。仕事をしつつゲーム制作のための情報も追いかけていたのですが、Unityは今までと比べものにならないほどさっと使えて、VRにも対応できました。Unity4リリース後はオープンソースになって情報公開も多くなったのでより面白いと思いました。
その後、研修業で独立し、おそらく日本で初めて企業向けのUnity研修をやりました。現職でのご縁はイベントで直接声をかけたのがきっかけですね。そこから現在に至ります。

——荒川さんは「作ってみる」こと、石井さんは「知識を学ぶ・新しいこと」にもともと興味があったのでしょうか?

荒川氏: インストラクターは皆エンジニアの要素も合わせ持っていると思っています。教えるにはまず自分が勉強しないといけない。自分で触り、試し、サンプルを作り、理解し、資料化するのはエンジニアに通じるところがありますし、エンジニア以上の知識が身につくのも楽しいですね。

石井氏: 開発に必要な知識はだいたい3~5年で変わります。その間に、先のことを見据えて幅広く知識を蓄え、教えるサイクルです。「先、先、先」で考え、自分のなかで飽きたころに世の中で流行り出しますね。
世界でもUnityはメジャーですし、知っているだけでも新しいチャレンジができます。それまで使っていたマイナーツールは、1から10まで自分でやる必要があり、楽しい反面、限界がありました。それらが最初から開放されているのがUnityの魅力でした。

Unityは、もちろんツール自体も素晴らしいですが、それにも増して、ユーザーのコミュニティの力がすごいと感じています。各々が実現したいものを発信し、触発され、情報交換をすることで盛り上がることが重要で、ツールを作って提供するだけでは駄目。ユーザーコミュニティの中から面白さが生まれてくる。

新しい知識を学び、自分の糧にする楽しみ

新しい知識を学び、自分の糧にする楽しみ

——Unityインストラクターの認定資格を取得するとどんな力がつきますか?

荒川氏: 人に教えていると自分が考えたことのない質問が飛んでくるので多くの知識を持っていることはとても大切です。それでも答えられないことは調べて対応しますが、何よりも自分自身の勉強になります。2年くらいインストラクターをやっていると、その反復で知識が積み上がりますね。

石井氏: インストラクターをするうえで、自信を持って教えられるようになりました。資格は知識を問うもの、現場では実技と知識の両方が必要になります。いきなり100%の知識を得るのは無理なのですが、日々続けて自分の知識を蓄えることは大切です。そのうえで、この資格に取り組むと、Unityが持っている可能性を知識として幅広く理解できて、一通り使えるようになるのではないでしょうか。インストラクターには、Tの字のように幅広い知識とそれぞれに関する深い専門知識が必要です。全て満遍なくは難しいので、専門を深掘りつつ横断的に考えることが必要ですね。

認定アソシエイトは、Unityに関する基本機能を知識として知るための資格、認定プロフェッショナルは、Unityを使いこなして目的を達成することを目標にしている資格です。後者はエラーから「なぜ」を分析する知識、つまり、荒川の言う「想定外の質問」に答えられる力が求められます。

多くのプログラム系の認定試験はコードやデータに注目してプログラムすることを求めますが、Unityではその他にグラフィック、音声、アニメーションと幅広い知識を求められるのが特徴です。アニメーションも含む、グラフィック全般を問う「アーティスト系」の試験と、「プログラマー」に分かれており、両方できればテクニカルアーティストとなります。インストラクターとしてはテクニカルアーティストまでの力はなくとも、グラフィックに強いか、プログラムに強いか、どちらかは必要ですね。

たとえインストラクターを目指さなくても資格を取ることで有利な場面が出てきます。資格を取る人は、純粋に勉強好きか、就職を有利にしたいかの2パターンかと思いますが、後者については認定試験に合格するとアメリカを中心として企業からオファーが来ることもありますし、就職でもアピールできるのではないでしょうか。

——開発エンジニアから講師を目指そうという方へ、インストラクターという仕事の良いところ・おすすめは?

石井氏: インストラクターは「しゃべり」が必要です。昔は勉強会のライトニングトークで、15分ほど人前で話す訓練をしていました。
場数を踏むことが大切ですね。

荒川氏: 例えば、「AI実装は知っているが、マテリアルやシェーダーなどは分からないから教えて欲しい」など、お客様からご要望をいただけば、インストラクターは、それに合わせて回答を用意します。大変なこともありますが、Unityの仕様を知ることを魅力に感じるならおすすめです。このような経験を積んで、たくさん教えることで貢献できると思っていますし、求められている役割だと感じます。

石井氏: 実は教えるのが難しいのが「入門」の知識。俯瞰した形で教えることが必要になります。私自身、C言語やJava言語をやってきましたが、改めてC言語をみると知らないこともたくさんあり、体系的に教えることは重要であり、難しいことだと思っています。講師をしていると、教えるために資料をまとめ、プレゼン資料を作り、プロジェクトを作るという一連の流れを繰り返しますが、2~3周やっていると分からないことも分かるように知識が整理されていくので、開発者とは違った勉強の仕方ができます。また、Unityはグラフィックスや計算の知識はなくても使えますが、凝ったことをするにはこれらの知識も必要なので、インストラクターになる人は、いろいろな分野の知識が必要になると思います。

新しい知識を学び、自分の糧にする楽しみ

——講師を目指してみようと思う人材に向けて、エールをいただけますか?

石井氏: 先の技術を見てそれをUnityと組み合わせていくことで、新しいことを知る楽しさを見出せる仕事です。常に先を見る努力をして、誰かに追いつかれたり、追い抜かされたりしたら負け。そのためにひたすら勉強していかなければなりません。だからこそ、いろいろなツールがボタン一つでできるようになるまで我々講師は必要とされると思います。
講師を目指す皆さんは、まずは、どんな形でも良いので、アウトプットをたくさん行って、コミュニティを盛り上げましょう。ゲームでも、ツールづくりでも、SNSで共有すると、感想が貰えたり、拍手が貰えたりします。
そうして、Unityを楽しいと思えて、勉強を続けて、知識の整理ができて、誰かに説明するようになるのがゴールですね。認定アソシエイトレベルの資格なら1ヵ月で取れますし、モチベーション・アップにも、資格に取り組んで学んでいただければと思います。

荒川氏: 人に教えるためには、普段自分が使っていない機能や説明するための原理を理解する勉強をしなければならないですが、それらが最終的には自分の知識になること、クライアントにも感謝されることがやりがいですね。プレッシャーもありますがそれ以上に楽しむことができる方は、講師の資質があると思います。Unityとしても、さまざまな産業やメタバースなど新しい需要があり、すごく将来性があると思っています。ぜひ一緒に挑戦し、Unityを広げていきましょう。

▼スタートアップメンバー【メタバース市場を創るエンジニア】募集!
当社ではUnityエンジニア/インストラクター/Unity・C#エンジニアを募集しています。少しでもご興味がある方は下記より詳細をご覧下さい。

To Creator編集部
To Creator編集部

Tips/ノウハウ、キャリアに関する情報/最前線で働く方へのインタビュー記事など、クリエイターの毎日に役立つコンテンツをお届けしていきます!