3DCGソフト「Blender」でできる仕事や特徴、将来性について徹底解説

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3DCGソフト「Blender」でできる仕事や特徴、将来性について徹底解説

3DCGソフト「Blender」でできる仕事や特徴、将来性について徹底解説

1995年のリリースから25年以上の歴史がある3DCGソフト「Blender」。無料で利用できるオープンソースの制作ソフトとして世界中に多数のユーザーがいることでも知られています。日本でも小規模な3DCG制作オフィスやフリーランスの間で非常に人気が高まっているようです。また近年では、3DCGのゲームやアニメ、映像の特殊効果といった3DCGに関わる仕事は増加傾向にあり、こうした制作ソフトの技術を学び、憧れの業界で仕事をしてみたいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

とはいえ、Blenderとは具体的にどのようなものなのか、また何ができるのかについて、あまり詳しく知らないという方も多いと思います。そこで今回は、3DCGソフトBlenderでできる仕事や特徴、将来性などについて見ていきましょう。

目次

Blenderとは?

「Blender」とは、モデリングをはじめ、アニメーション制作やレンダリング、各アプリ向けの出力といった工程をワンストップで行うことができる3DCGソフトです。完全無料ながら機能は本格的で、ハイエンドクラスの制作ソフトにも引けをとりません。

こうした理由から、最近では3D映像・アニメーション・VFX・動画編集で活用されるケースも増えてきています。2017年頃まではゲームコンテンツへの利用がほとんどだと言われていたBlenderですが、若い世代におけるVTuber熱の高まりもあり、ここ数年はVTuberによる活用も盛んに行われているようです。

実際のBlender活用シーンとしては、以下のようなものがあります。

  • アニメーション映画における3Dモーション、CGキャラクター制作など
  • 3DCGゲームの制作における3Dモデリングに
  • 「Unity」「Unreal Engine」を使ったスマートフォン向けゲームアプリ開発のモデリングツールに
  • SFアクション映画の制作ソフトとして
  • NASAの宇宙探査の疑似体験に

なかにはBlender人気の高まりを受け、社内の3DCGソフトをBlenderに置き換える企業も出てきており、Blenderの利用シーンは着実に広まってきていると言えます。

3DCGソフト「Maya」との違い

このようにクリエイターや学生の間で注目を集めるBlenderですが、同じ3DCGソフトとしてよく引き合いに出される「Maya」との違いは一体どこにあるのでしょうか。

クリエイターの間では、プロのCGクリエイターは「Maya」、素人は「Blender」などと長年言われてきました。なぜならMayaは、多種多様なツールが用意されているほか、スクリプトでの機能拡張にも長けており、より高度な制作に対応できるハイレベルツールであるためです。

またMayaは、世界中で圧倒的なシェアを誇り、日本でも多くのクリエイティブ関連の会社がMayaを導入していることから、まさに3DCG制作の業界標準ソフトと言っても過言ではありません。そのため、技術習得用の教材や関連情報の蓄積も多く、問題発生時にはスピーディーな解決策を得られることもMayaが多く利用されている要因と言えるでしょう。

以上のことから、Mayaは「プロ仕様」「3DCG制作ツールの先駆け」といったイメージが定着しているようです。しかしBlenderも「モデリングからレンダリングまで対応可能」「動画編集機能あり」「さまざまなプラットフォームで開発OK」など無料で多数の機能が利用できます。BlenderがMayaよりも機能的に大きな差があるというわけではないため、最近はBlenderを導入する企業も多くなっています。

Blenderの特徴・メリット

Blenderの特徴・メリット

Blenderの概要やほかの3DCGソフトとの違いが明確になったところで、ここからはBlenderの特徴やメリットについて見ていきましょう。

オープンソース

まずBlenderはオープンソースである点が特徴です。誰でも無料で自由に使用でき、カスタマイズしたりすることが可能です。

マルチプラットフォーム対応

Blenderは、Windows、Mac、Linuxの3つのマルチプラットフォームに対応しています。これらについては競合ソフトであるMayaも同様ですが、SolarisおよびIRIXといったUNIX系OSには対応していません。その点、Blenderはこれらにもしっかり対応しています。さらに、日本語とその他の言語の切り替えも再起動せずにスムーズに行える点もメリットと言えるでしょう。

定期的なアップデート

バグのフィックスや新機能追加などのアップデートが定期的に行われているのも、Blenderのポイントのひとつです。公式サイトのリリース情報を見るとアップデートが頻繁に行われていることが分かり、意欲的に機能改善やグレードアップを実施していることがわかります。

参考:Releace Notes ― blender.olg

Blender用の無料アドオン・アセットが利用可能

Blenderは、無料のアドオンやアセットを多数利用できるのも魅力です。たとえば、「Geometry Nodes Pipes」は、VFX Artist兼映像ディレクターとして活躍する涌井嶺氏によって無料で公開されたパイプジェネレーター。また、「Fantasy Tree Generator」は、3DアーティストのRc12氏によって作成されたツリージェネレーターで、さまざまなバリエーションのスタイライズドツリーを生成することができます。

このように新たな機能を追加したり、カスタマイズができたりするのもクリエイターを惹き付ける理由のひとつと言えるでしょう。

Blenderのデメリット

以上のようにメリットが多いBlenderですが、デメリットについてもチェックしていきましょう。

習得が難しい

Blenderは操作やUIがかなり独特であると言われており、クリエイターのなかには、Blenderはプロ向けの動画編集ソフトより扱うのが難しい、といった評価をする人も少なくありません。たとえば、キー配置は頭文字での覚えやすさを優先して決められていますし、ショートカットについても覚えることが多々あります。基礎的な操作ができなければソフトをまともに扱うことすら難しいのが難点です。使いこなせるようになるまでにかなりの勉強や経験を重ねる必要があります。ただし、最近はインターネットやSNSなどで情報を収集し、独学で学ぶこともできる環境も整ってきているため、チャレンジすることで可能性が広がる場合もあります。

AR・VRコンテンツ制作ができない

Blenderは、3DCGに関しては比較的幅広く扱うことが出来ますが、最近話題のARやVRといった分野のコンテンツ制作はできません。ARやVRコンテンツを作りたい場合は、「Unreal Engine」などのゲームエンジンなどを使うか、別途プログラミングが必要になります。

Blenderを使ってできる仕事

Blenderを使ってできる仕事

先述したように、Blenderを使ってできる仕事には、アニメーションやゲームといった3DCGの制作がメインとなります。Blenderは無料ではあるものの、3DCGを制作する上で必要となる機能はほぼ網羅されているため、安心して活用することができるでしょう。

具体的な活用例としては、以下のようなものがあります

  • モデリング:(イラストやイメージ画像など、2Dの状態から3Dのオブジェクトを作る)
  • リギング:(キャラクターなどの動くものに骨組みや間接などを設定、関連付ける)
  • テクスチャマッピング:(作ったものに対して立体感や質感を加えていく)
  • ライティング:(光で陰影をつける)
  • ア二メーション:(人物や背景などに動きを付ける)
  • シミュレーション:(重力や磁力などを演算してリアルな描写ができる)
  • モーショントラッキング:(動きに合わせた編集ができる)
  • スクリプト編集:(細かい描写についてスクリプトで記載できる)
  • レンダリング:(画像や動画、音声として書き出すことができる)
  • 動画編集:(動画として編集ができる)

このようにBlender には3DCG制作に必要なツールが一通り揃っているほか、スクリプト編集や動画編集にまで対応しているため、非常に高度なソフトであることが分かります。その分使いこなすのが難しいものの、技術を習得してしまえば基本的にはどのような制作物にも対応できます。そのため、クリエイターがBlenderで作品を制作できるスキルを身に付ければ、将来的に仕事の幅が広がる可能性もあるでしょう。

Blenderの将来性・トレンド

最後に、Blenderの将来性やトレンドについても言及していきます。

Blender以外の3DCG制作ソフトの習得もしておく

クリエイティブ業界ではBlenderを導入する企業も増えてきており、注目を集めていることは事実です。しかし、Blenderしか扱えないクリエイターが応募できる求人はメジャーな3DCGソフトと比較すると少ない傾向にあります。3DCG制作の現場では、今もなおMayaや3dsMAXなどがメジャーなツールですので、この業界・分野で活躍していくためには、これらのツールの技術習得があるという前提で、Blenderも使えるクリエイターを目指すことが好ましいと言えます。

Blender使いはVTuberを中心として急増している

近年では、3DCGや映像、ゲーム、VTuberなどに関わる仕事が増加傾向にあります。そのためBlenderを利用した3DモーションやCGキャラクター制作で、今後クリエイター向け求人が増えていく可能性は非常に高いといえます。

Blenderでの制作技術は仕事の幅を広げるきっかけにもなるため、これから3DCGの技術を学ぶ方はもちろんのこと、すでにMayaや3dsMAXを習得している方も、さらなるスキルアップとしてBlenderの技術を習得しておくとよいでしょう。

まとめ

今回は、3DCGソフト「Blender」でできる仕事や特徴、将来性などについて見てきました。ここ数年で、3DCGのゲームやアニメ、映像の特殊効果といった3DCGに関わる仕事は増加傾向にあり、注目度の高い仕事でもあります。

そのため、Blenderの技術を習得しておけばクリエイターとしてのチャンスが広がること可能性もあります。しかし3DCG業界で生きていくためには、「Maya」や「3dsMAX」といった制作の現場で頻繁に使われるソフトが業界標準のため、これらを習得しておくのが得策です。Blenderしか使えないというのは、採用面で不利になりやすく、業界で活躍する未来を描いているのであれば、いずれの技術にも精通した人材を目指していくのがよいでしょう。

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