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キングジムのデザイン、一般文具とデジタル文具 株式会社キングジム 社員インタビュー1回目

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キングジムのデザイン、一般文具とデジタル文具

紙製ファイルや事務用品の定番を確立させ、「テプラ」に代表されるデジタル文具では独自の路線を切り拓いているキングジム。戸田直利氏は、製品デザインだけでなく、店頭での展開戦略にも関わりながら、同社のデザイン部門を率いている。

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戸田氏 2011年6月から、これまで“一般文具”と“電子文具”に分かれていた当社の開発体制が商品開発部として統合されました。つまり、ファイルやステーショナリーなどの一般文具と、『テプラ』や『ポメラ』のような電子文具の垣根がなくなったのです。おもしろいアイデアがあったとしても、所属が一般文具だから提案できない、というような状況は、もはやありません。発案した本人がその商品を担当するのが、現在の基本体勢です」

開発本部の中にデザイナーが所属するのは、デザインが機能に直結するものであるという考えからだ。アナログ・デジタルを問わず、デザイナーは発想力を活かせる。

戸田氏は入社以来、一般文具のデザインを手がけてきた。その経験から、電子文具にもファイルやステーショナリーで得たノウハウを応用させることができたと語る。「ポメラ」を皮切りに「ピットレック」「マメモ」「ブギーボード」といった新規企画には、文房具らしい感覚を商品開発に結びつけている。

そこに活かされたのは、担当者の強い思い入れ、が第一だと言う。

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左)キングファイル、右)テプラ TR55

「デジタル文具の新商品は、プロダクトアウトです。もしユーザーリサーチやグループインタビューをしていたら、『ポメラ』は生まれてこなかったでしょう。あるいは、全く違う商品になってしまったと思います。目指した機能は、文章を打つというただ1点だけ。商品コピーにもありますが『ぱっと開いて2秒で起動』。

我々は、枯れた技術をうまく1機能でまとめて、あとは企画力で提案していきます。つまり最新技術は何も使っていないけれど、どう心地よく持ってもらえる商品にしていくか、という視点が基本にあります。ニッチ市場ですけれど、そこを深堀していくのです。欲しい人は絶対に欲しい、そう思ってもらえる存在価値こそ、デジタル文具の着地点です」

ニッチ層をひきつける発想力

「ポメラ」開発時の技術担当者も、実のところあまり売れないと思っていたようだ。社内でもあまり芳しい反応は得られなかった。とはいえ、ニッチ層は必ず存在する。

そして「ポメラ」も初代機以降は、ユーザーの声を反映させ、改善を重ねている。

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ポメラDM10

「誰もが賛同する商品企画なら、ニッチではありませんよね。ひとりでも買うと言ってくれるなら可能性はあります。経営側の最終判断に依りますが、少なくとも需要はありそうだ、可能性が見える、となればゴーサインが出ます。『ポメラ』のように市場に存在しなかった商品の需要は誰もわかりませんから、半ばギャンブル(笑)。過去を振り返ってみても、実は外した商品も少なくありません。しかし、社長は『10回中1回あたればいい』と寛容です」

従来にはなかったけれど、こんなものが欲しかった!と思わせる商品開発には、どのようなデザイナーの素質が求められているのだろうか。

「絵がうまいからデザイナーかというと、それは違います。現在はデジタル文具を、いかに質感や形で表現するか、というところに力を入れており、外部のデザイナーに依頼する場合は、なるべく自由に発想してもらいますが、最終的にはメーカーとしての思想を貫いた形にまとめあげていく能力が問われていると感じます。驚くほど斬新なアイデアを多く出してくれる外部のデザイナーの発想とうまく融合できるのが、理想的ですね。

デザイナーには、発想力や企画力が必要です。さらにその発想力を、どのようにメーカーとしてのデザイン思想と重ね合わせることができるか。若い人なら3DCADを扱えるほうが良いですが、ただ使えるだけはだめ。極端に言えば、絵が描けなくても、発想を広げられることが大切です」

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「最近の学生の作品集などを見ると、完成度が高く、絵そのものはすごくうまい。でも表層にだまされてはいけない(笑)というか‥‥‥まずは、手で描きながらデザインとしてあるべき形を試行錯誤するべきだと思います。まずは発想力を養い、デザインを柔軟に思考できなくてはなりません。その上に、ツールとして3DCADやソフトを扱える能力がある程度あれば良いのです。やはりしっかりと考えられる人が求められています」

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株式会社キングジム 開発本部 商品企画部 デザイン課長
戸田直利 TODA Naotoshi

1993年 拓殖大学 工学部 工業デザイン学科卒業
1993年 株式会社キングジム 入社
(以下キングジム内経歴)
・商品開発部 デザイン管理グループ配属
VI変更作業をしながらキングジムのデザインアイデンティティーを学ぶ
・開発本部 一般文具開発部 デザイン設計課
ステーショナリー製品全般のデザイン開発に携わる
・開発本部 商品企画部 デザイン課長
ステーショナリー製品だけではなく、「ポメラ」を筆頭とするデジタル文具デザイン開発に携わる
又、製品デザインだけではなく製品プロモーションにも携わり一気通貫したディレクションを行う

リンク:キングジム

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