自分のやりたことをやり続けるにはフリーランスでいくしかない 。型破りなCGアニメーション作家でんすけ28号インタビュー!

2018年4月19日


谷川英司

でんすけ28号|映像作家・アニメーション作家・アートディレクター 1993年生まれ。東京都出身。2016年多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業

小学生の時のオンラインゲームのハンドルネームをアーティスト名として使い続ける映像作家“でんすけ28号”。型にハマらない映像作品群は在学中からグローバルに注目を集めてきた。2016年3月に多摩美術大学を卒業し、今年でフリーランス3年目を迎えた春、インタビューをした。

 

プロジェクションマッピング アワード「Tamping Traveler」について

――学生の頃からアクティブに活動されているでんすけ28号さんですが、学生の時に応募したプロジェクションマッピング アワード(PMアワード)では優秀賞を受賞されています。そのお話からきかせてください。

卒業間近で、当たって砕けろ、じゃないですが、色んなコンペに出品していました。卒業して、自分のやりたことをやり続けるにはフリーランスでいくしかないと思っていて。 PMアワードに関しては、出品のきっかけは、ラボの寺井弘典先生の勧めでした。その頃は僕が幹事を務める卒業制作展も控えていてパツパツだったんですがやってみたくて。1人で作品制作するのは難しいので、同級生の持田寛太君に声を掛けました。彼も乗り気で「テクノ家(てくのけ)」というユニットで作ることになりました。僕は、持田君のことをモッチーって呼んでいるんですけど、仲良くてシェアハウスに一緒に住んでいたんですが、作品制作を共同ではやったことがなくていい機会だなって。

 

テクノ家「Tamping Traveler」東京プロジェクションマッピングアワードVol.0優秀賞

 

――その後作られているご自身の作品性とPMアワードの作品の方向性は違っていますね。

「Tamping Traveler」は、プロジェクションマッピングへの挑戦を込めています。ある意味ストイックに攻めたものなんです。BGMを使わず、いわゆる、プロジェクションマッピング的なギミック、例えば、立体的にみえる視覚効果などを使わないことが最初の取り決めでした。「やるからにはそうだよね」ってモッチーと顔を見合わせてうなずく…そんな感じで始まりました。新しいマッピングの表現に挑戦した方が面白いですよね。

 

――それで辿り着いたのが、工事現場ではたらくおじさんが未来道具を手に時空を飛び交うというSFですねアニメーション作品(笑)。

ストーリーのあるアニメーションでしたね(笑)。そういうのを観たことがなかったし、とにかく裏切ってやろうと。

 

――どんなところから着想したのですか?

身近な所にヒントを得ました。街で道路の工事現場を通りかかった時、タンピングランマーでガガガって道路の表面を叩いているのを見て、モッチーと「あのモチーフいいね」って。工事現場のおじさんに焦点をあてるのも面白い。直感的にひらめきました。そこからストーリーを考えて、フルCGで作りました。モッチーがモデリングをして、僕がアニメーションを担当しています。

 

――見事「優秀賞」を受賞し、狙い通りにいきましたね!

正直、「だろうな」って(笑)。最優秀賞はさすがにムリだと思っていました。型破りなアプローチだし、このコンペティション自体が第一回目ですし。でもこの「挑戦」の意思が伝わったんだって嬉しかったですね。

 

――学生の方も多く参加するコンペティションですが、テクノ家に続くであろう後輩へメッセージをお願いします。

僕らもそうでしたけど、型にハマらないことだと思います。どんなものにも「こうすべき」という暗黙の型があるかと思うのですが、コンペティションなので、想像力を最大限に働かせて、本当にそうなのか?こういうのはどうか?って、挑戦することに意味があると思っています。

 

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――「テクノ家」として今後も活動される予定ですか?

今、全然活動していないです。もともと、2人でVJをやるときにつけたユニット名なんです。学校にテクノ研究会っていうサークルというか団体があって、テクノ研究会といいつつもテクノ・ミュージックに特化しているわけではないんです。そこにはトラックメイカーやDJやVJが所属していてVJをやりたかったから入っていました。

 

――VJをやりたいなって思ったきっかけはあるのですか?

映像に興味を持ち出したタイミングだったんですが、大学2年の半ば位でした。友達に「映像に興味あるんだったらVJやってみれば?」って言われて。それまでその発想がなくて、「あ、VJって手があるのかー!」って。モッチーは先にもうはじめていたんですね。それを見て、かっこいいじゃん、って。

Vimeoから広がった映像の仕事

Your Gay Thoughts - To Disappear from densuke28 on Vimeo.


――在学中に映像に興味をもちはじめたということですが、美大にはいったのは他にやりたいことがあったのですか?

グラフィックデザインに興味があって、将来はアートディレクターっていう職業につきたいなと美大を志望しました。それでグラフィックデザイン学科を受けて落ちて、受かったメディア芸術コースに入って、そこで血迷いながら模索をしているうちに映像に出会いました。

 

――在学中からお仕事されていますよね。

海外のYour Gay Thoughts というバンドの「To Disappear」という曲のMVを作りました。

 

――依頼のきっかけは何だったのですか?

ビーズジュエリーブランドのプロモーションビデオを作ったのをVimeoで見てくれたレーベルが連絡をくれました。「やってみない?」って。海外だし、テンション上がって、やるしかない!と。その出来上がったビデオも上手いことハマってくれてStaff Picksに選ばれ、その後は、仕事が仕事を呼んで繋がっている感じです。

 

――仕事内容はMVが多いのですか?

去年はMVが圧倒的に多かったです。8本くらい作りましたが、最近はグラフィックの仕事が増えてきています。そういう仕事をしたかったので嬉しいですね。映像ももちろん作り続けようは思っていますが、そういうところにも携わっていきたいです。やりたいことを言っていると、案外叶うんですよね。だから、なるべく周りに言うようにしています。前も電気グルーヴの仕事をしたいって言っていたら話がきたり。

DENKI GROOVE DECADE 2008〜2017 DIGEST

 

――今やりたいことは?

僕はNIKEが好きなのですが、前にNIKEのAir Force Oneの仕事を手伝ったのですが、ディレクションではなかったので、次はディレクターとしてやってみたいです。

技術力よりも世界観。そういうアプローチもあり

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でんすけ28号によるZINE「1FRAMES」からのアートワーク。
2016年8月〜9月には初個展「Bonus Stage」も開催した


 

――制作スタイルについて聞きたいのですが、お一人で作られているにもかかわらず作品の制作ペースが早いなって思うのですが、その秘訣は?

早いんでしょうかね…。でも、僕は自分で“モデリングまでちゃんとする”っていうこだわりが無いんです。キャラクター意外は結構買ってくるので、そういう意味では早い(笑)。それよりも世界観を作るのに時間を掛けたいんです。最近はキャラクターのモーション自体もそんなにこだわりないんですよ。

 

――動きが個性的なキャラクターが多いので、そこにはこだわっているのかと…。

Adobeのmixamoっていうサービスがあって、そこにキャラクターをポンって投げると勝手にリグ付けしてくれて、アクションを選択するだけでいいっていうめちゃくちゃ便利なサービスを活用しています。モーションのライブラリも充実しているんです。数分で出来てしまいます。

そもそも、僕はCGヘタなんです。某CGコンテストでも「CGヘタだね」って言われました(笑)。なんですけど、上手い下手じゃない気がしていて。はじめの頃は、ヘタなりにモーショングラフィックスとかをやっていたのですが、つまらないなーって。こんなの出来る人なんてたくさんいるし、僕がやることじゃないなって考えるようになりました。

 

――それよりも世界観の構築に時間をかけると。そこはどのように思いつくというか、作っていくのですか?

普段からやりたことのストックがあって、仕事に合わせてそこから引き出してくる感じです。白紙から考えていくというよりも、手持ちのアイデアとどうマッチさせるかっていうところを考えることが多いです。

フリーでやっていくために必要なのは…

Qiezi Mabo loves PUNPEE - Qiezi Mabo Forever (Fried Chicken Mix) from densuke28 on Vimeo.

 

――お仕事ってどういう軸で選んでいるのですか?

単純に自分がやりたいものを選んでいます。とは言え、今はやれるだけやらせてもらう時期だと思うので、スケジュールが合えば何でもトライしたいです。なんですけど、MVについてはやっぱり楽曲が好きでないと難しいです。でないと納得できない作品になってしまって、オファーをくれた方にも、見てくれる人にも、自分にも申し訳ないことになってしまうから。

 

INORI_sub03_tanigawa

――もしフリーランスでやっていきたいと思っている美大の後輩がいたとして、どんなアドバイスをしますか?

自信も持てばいい、と伝えますかね。簡単な精神論になっちゃうんですが、心の余裕があればいいんじゃないかなって思います。

――自信を持つことって難しくないですか?

とにかく自分が魅力的だと思った事を形にし続ける。作品を完成させて、人にも見せていく。内面からの満足度と、周りの反応や評価という外的なものの両軸から自信をつけていくしかない。褒められたら、いい意味で調子に乗ればいい。「あ、これやっていてもいいんだ」って確認を繰り返していけば、自信につながるし、自ずと評価もついてくるんじゃないかなと思うんです。

――今後の目標を教えてください。

大きい所でいいですか?やっぱり、日本のメインストリームを変えていきたいんです。結果はどうであれ、変えていくっていうのが大切なんじゃないかなと。少しでも自分に変えることが出来るならそういう手伝いをしていきたいです。例えば、国民的アイドルグループである乃木坂46のMVに本人達が登場せずにフルCGで作られていたら面白い。アイドルなのにフルCG。Abema TVの「72時間ホンネテレビ」はよかった。テレビで活躍していた人がネット番組に場を移して話題をつくっていく。そういう変化が楽しい。結果を気にしてやらないんじゃなくて、結果はわからくても、とにかく変えていこうって思うことが大事なんじゃないかと思うんです。

 

 

- 取材・文・編集:山本加奈|写真:Rakutaro -

 

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