KINFOLK創設メンバーのフォトグラファーParker Fitzgeraldインタビュー!初の写真集OVERGROWTHとフォトグラフィーへの愛を語る!

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Parker Fitzgerald (パーカー・フィッツジェラルド):1984年3月6日、ウィスコンシン州 ミルウォーキー生まれ。コロラド大学ビジネスカレッジ卒業。Ransom Limitedの創業者のひとりで国際的に活躍するフォトグラファー。主なクライアントにNike、Honda、UNIQLO、KINFOLKなど。フィルム撮影により、静物のインパクトを再現することを目指す。

ゲーム大好きっ子として過ごした幼少時代。将来はゲームのキャラクターデザインか漫画家、もしくはイラストレータになりたかったというParker Fitzgerald(パーカー・フィッツジェラルド)氏。夢は叶い、グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートさせるが満足出来ず、ネット上に発表した写真が、人気を呼んだことをきっかけにフォトグラファーへの道を歩み始める。ポートランド発のライフスタイルマガジンKINFOLKをはじめ、NikeやUNIQLOのキャンペーンを手がけると瞬く間に人気フォトグラファーへとその才能を開花させた。

そんなフィッツジェラルド氏が、同じくKINFOLKのビジュアルに欠かせないフラワーデザイナーRiley Messina(ライリー・メッシーナ)と取り組んできたプロジェクトが写真集「OVERGROWTH」として出版された。ポートランドを拠点に、活躍するフィッツジェラルド氏に写真集のこと、写真をはじめた経緯、そして日本でも本格的にキャリアをスタートさせるこれからについてインタビューした!

OVERGROWTH

OVERGROWTHはフィッツジェラルド氏の写真哲学を体現し、メッシーナ氏の色彩感覚と美的センスが存分に反映されたプロジェクト。コダック社のフィルムで撮影。2005年10月に写真集として発売。
ソフトカバー|W224×H302|190P|9,180円(税込)

――フラワーアーティスト、メッシーナさんとの写真集「OVERGROWTH」ですが、ギャラリーRocketや代官山T-siteでの展示と広がりをみせました。このプロジェクトはプライベートな発想からはじまったそうですね。

遡ると、KINFOLKから花の本をつくりたいって話しがあったんです。KINFOLKが出版した料理の本の写真を撮っていたんですが、KINFOLK的にも気に入ってもっと書籍をやろうということでした。そこで、ライリーと僕のコラボレーションで “花”をテーマにゆっくりと始まったんです。その頃、撮影していたのが、この写真集の後半にあたるところです。なんとなくKINFOLKっぽさがでているのが分かると思います。

数ヶ月後、今から約2年前の6月の金曜日の夜、僕は東京にいました。KINFOLKのシティガイド企画の撮影で来てたんですが、友人を介してグラフィックデザイナーの長嶋りかこさんと知り合ったんです。彼女から「花で顔が隠れつつも顔がみえるようなポートレートを撮ってほしい」とリクエストがあって、面白そうだからやってみようと、いうことになり、ライリーがすぐに花を買ってきてコンクリートの壁を背景に撮影をしたんです。その写真がこの写真集の方向性を決めました。

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長嶋りかこ氏のポートレート

“自分が部屋に飾りたい写真”をゆるいテーマとしていたのですが、りかこさんのポートレート、花で顔が隠れている写真はまさにぴったりでした。美しさとグロテスクさが奇妙に入り交じった写真がはじめてフォーマットになったような気がして、色んな人とこのシリーズを撮影していきました。来日中に、ギャラリーROCKETと、5週間後に、ライリーのフラワーワークショップと僕の写真展の約束もしました。一方で、KINFOLKと進めていた花の本が、残念ながら立ち消えてしまい、僕たち自身のプロジェクトとして必然的に継続することになったんです。KINFOLKの本だったら、もっとカラフルでフラワリーな可愛いさを軸にしていたけど、自分たちのプロジェクトになってからはもっとダークなアプローチなものが増えていったんです。ただ奇麗というだけでなくもっとコンセプチュアルなものになっていきました。3つのキーワード"cemetery(墓地)、reflection(反射)、 repetition(反復)"をもとに、一風変わった写真を撮っていくことになりました。とは言え、キーワードに囚われすぎず撮影していった写真集なんです。

■ ビューティーとダークが混在する世界を作るミュートなカラー。

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――奇麗なだけでなくダークな世界観をつくるため、色味やデザインの上でのこだわりを教えてください。

ライリーが主にアートディレクションをしています。カラーパレットでライリーが選んだのは“主張しない色”たちでした。明るくて色彩豊かな感じではないでしょ。白に黄色に青っぽい白だったり、統一感をもたせながら彩度の低い色味の花を選んでいったんです。ライリーはそういう世界観に徹底してこだわっていました。鮮やかな花、例えば太陽光では鮮やかなオレンジの花であっても、照明にすごくこだわって、極端な言い方をすると、その色を殺すくらいの照明をしています。美しさと毒々しさが共存する不思議な世界観を作るためのディレクションです。

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――この水面に花と女性が浮かんでいる写真、とても素敵ですね。

この撮影は1番難しかったんです。プールではなく、寒空の下、実際の川で撮影しました。水中では喋れないから何度も取り直しをしました。スタジオとは違って自然を相手にするのって大変ですよね。取り直す度に花を川下から集め直さなくちゃいけなくて、これがかなり骨が折れるんですが、花をキャッチする装置も作ったりして。ケイシーという友人がモデルなのですが、彼女が花を抱えてもぐって、同時に花を離す。まるで、花がぼくの構えるカメラにむかって開くように浮かび上がってくる。そしてケイシーの表情は穏やかでピースフル。今後一生かかってもこのような構図の写真はもう撮れないと思う。

■ 撮影はフィルムカメラを使用。リアリティを映しとる。

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趣味用に持ち歩くのは、ライカ(LEICA)のM.P.(Mechanical Perfection)。2008年製。カスタマイズ・オタクの友人によりカスタマイズされている。レンズは61年に作られた35mmのレンズで、圧倒的な技術力で作られたものだそうだ。

――パーカーさんはフィルムで撮影されると伺っています。今の時代ってデジタルの方が効率的だったりしますが、それでもフィルムカメラにこだわる理由は?

ひとつの理由は、使っていて楽しいから。そしてフィルムの方が美しい写真が撮れるから。デジタルでクオリティにこだわって撮ろうとすると、僕の場合かえって高くついちゃうんです。

ふたつ目の理由は、フィルムは活き活きとした写真がとれるから。フィルムで写真を撮るということは、銀塩に感光させ、ネガフィルムを得るという行為で、1本のロールで36枚しか撮影できず、シャッターを切るたびに1ドルのコストが掛かり、1枚1枚の写真が価値をもつことなんです。そのフィルムを安全な場所に保存すれば何百年後でも子孫は観ることができるリアルなもの。一方、デジタルデータは保存していたHDDの寿命がいつの間にかきていたり、ストレージやコンピュータのシステムが変わって観れないなんてこともあり得ます。それって僕にとってはリアルじゃないんです。自分が撮るものは、リアルであってほしい。撮影した高価な花々は、この後枯れてしまう儚い存在です。でも、写真という、もうひとつのリアルなものにトランスフォームさせ、永遠の存在にさせることができます。それがフィルムが持つリアリティなんです。だから、写真を撮る時の瞬間に凄く集中しますよね。デジタルカメラで撮影して、使われない何千枚の写真を量産するのとは違います。写真との向き合い方が僕はフィルムの方が好きなんです。

そもそもフォトグラフィーっていう分野、特にKINFOLKのような写真は、ノスタルジックな世界だと僕は考えているんです。写真を見た人が感動したり、エモーショナルな行為だと思っているんです。だから僕も写真を撮る過程でエモーショナルでありたい。フィーリングを再現するための最適な選択だと思っています。僕は、デジタルは本質を表現、再現できないと思っているんですね。

■ フォトグラファーになったキッカケは意外にも・・・。そしてKINFOLKとの出会い。

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2014年、フィッツジェラルド氏が三社祭に行った時に御神輿の担ぎ手集を撮ったもの。ライカのフィルムカメラとと60年代製のレンズを使用し、時代性も曖昧で映画のワンシーンのようなドラマチックな世界が写し取られている。

――写真は独学なんですか?

フィルムカメラに出会ったのは、気になっていた女の子がいて、彼女は写真が好きでフィルムにこだわるアート系の子だったんです。彼女に気に入られたくて、俺も写真好きだよ!なんて言っていると、ポラロイドカメラを勧められたのがきっかけで写真との距離が深まっていったんです。ポラロイドカメラを使ってみると楽しくて、Flickrに写真の発表の場所を移し、毎日1枚1年間渡って撮ってはSNSにアップするというプロジェクトをやったんです。そこからは、1日中レンズの専門Webサイトで記事を読み漁ったり、カメラについて色々勉強しました。

SNSを通じてフォトグラファー仲間が出来き、友達を飛行機で尋ねていって写真を撮ったり、そういうコミュニティが出来上がってきたんです。ポラロイドの「Impossible Project」でアクティブに活動したり、Instagramが登場してから、更に勢いづいていきました。そこにKINFOLKが登場したんです。2011年のことでした。KINFOLKには、仲間のクリエイターも関わっていて、僕もフィルムのフォトグラファーとしてある程度知られていたことや、KINFOLKがとてもフィルムをリスペクトしていた文化がマッチして一気に成長していった。全てが魔法のように、パっとまとまったタイミングだったんです。大きなターニングポイントでした。

――好きなフォトグラファーや影響を受けたフォトグラファーを教えてください。

駆け出しのとき好きだった写真家はRobert Capa(ロバート・キャパ)とHenri Cartier-Bresson.(アンリ・カルティエ=ブレッソン)。特にブレッソンは、このライカのタイプのカメラを愛用していました。しかも上手いんです!歩きながらいい構図に出会うとバババって撮る。彼はこのシンプルなツールを完璧に使いこなして素晴らしい写真を撮っていた。だから僕もこのカメラを持ち歩いているんです。"シンプルなものを極める”。このカメラはちょっと扱い辛いところもあるんです。でも極めると他のどのカメラよりも素早く完璧なフォーカスで瞬間を切り取ることが出来る優れたカメラなんです。(フィッツジェラルド氏は焦点距離を瞬時に合わせながら説明をしてくれた)。スタジオ撮影や仕事で使うのは、キヤノンのフィルムカメラCanon EOS-1v、PENTAX 67、CONTAX 645らが多いですね。

■ フォトグラファー/撮影監督として日本で本格的に活動開始!

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「JINS MEME」
cd: 齋藤精一 (Rhizomatiks Tech Marketing)、ニック・バスチャン、ガイ・ビングレー|c: 佐藤文彦 (Rhizomatiks Tech Marketing)、大津裕基|pr: 中浜大輔 (Rhizomatiks Tech Marketing)、古屋言子|Web ad/dir: 阿部琢哉(オノフ)、服部浩之(オノフ)|Web c: 野村拓也(オノフ)|Web pr: 藤井秀和(オノフ)|Web de: 井門直美(オノフ)|photo(situation): パーカー・フィッツジェラルド(Ransom, Ltd.)|photo(product): 奥貫克郎(アマナ)、久田翔子(アマナ)、吉田明広(1002)|translator: 根本ニコール(文字マジック)
フィッツジェラルド氏はJINS MEMEのWebサイトやショップのメインビジュアルの写真を手がける。

――この秋から制作会社TOKYOに所属されましたが今後どのような活動を視野にいれていますか?

ポートランドという街は、デザイナー友達やミュージシャン仲間と駆け出しから学びながら成長してきた街です。フォトグラファーとしての今の僕を形成したのはポートランドといっても過言ではない。でも、今は多くの仲間が有名になってLAに移住したり、僕も今はKINFOLKの写真は撮っていません。ポートランドも仲間も次のフェーズにはいっているように感じます。

そういう中、フォトグラファー、撮影監督としてTOKYOと契約しました。新しい体験だし、JINSの仕事もとても楽しかった。スチールで日本の仕事は沢山してきているけど映像の仕事をもっと沢山やりたいですね!

 

編集:white-screen.jp

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