主演佐藤健と神木隆之介!大人気漫画「バクマン。」が映画化!この世で一番えらい職業は漫画家じゃないかと思ってる。大根仁監督最新インタビュー!

映画「バクマン。」

日本|120分|東宝|2015年
監督・脚本: 大根仁|エグゼクティブプロデューサー: 山内章弘|企画・プロデュース: 川村元気 出演:佐藤健、神木隆之介、染谷将太、小松菜奈、桐谷健太、新井浩文、皆川猿時、 宮藤官九郎、山田孝之、リリー・フランキー ©2015 映画「バクマン。」製作委員会

「湯けむりスナイパー 」、「モテキ」、「リバース エッジ 大川端探偵社 」と話題作を連発する深夜ドラマ番長であり、映画版「モテキ」が興行収入20億円を超える大ヒットを記録した、大根仁監督。待望の新作は週刊少年ジャンプにて人気連載された、原作・大場つぐみ / 作画・小畑健によるコミック「バクマン。」だ。

佐藤健演じる作画担当の真城最高(通称:サイコー)と、神木隆之介演じる原作担当の高木秋人(通称:シュージン)の高校生二人からなる漫画家が、週刊少年ジャンプの連載という狭き門に挑み奮闘していく様を描いていくこの作品。VFXやプロジェクションマッピングなども駆使し、単なる青春物語や職業テーマの映画の枠を超えたエンタテインメント作品として仕上げている。「バクマン。」に込めた想いやこだわりなど、大根監督にじっくりと話を訊いた。

■この世で一番えらい職業は漫画家じゃないかと思ってる

「バクマン」メイキングより。演出をつける大根監督。 大根仁:1968年東京都生まれ。映画監督、脚本家。「劇団演技者。」「アキハバラ@DEEP」「湯けむりスナイパー」などの深夜ドラマを数多く手がけ、2011年には自身が演出を務めたドラマ「モテキ」の劇場版で映画監督デビューを果たし、第35回日本アカデミー賞で作品部門の話題賞に輝く。近作は「恋の渦 」、ドラマ「まほろ駅前番外地」「リバースエッジ大川端探偵社」ほか。電気グルーヴの活動を追ったドキュメンタリー映画「DENKI GROOVE THE MOVIE? ~石野卓球とピエール瀧~」が2015年12月より公開 ©2015 映画「バクマン。」製作委員会

――監督が「バクマン。」という作品を映画化した決め手から、まずお聞かせいただけますか?

東宝の川村元気プロデューサーと映画「モテキ」(2011年)を作った後、次は何やりましょうかって話をしていて。その中で川村さんから「ちょっと「バクマン。」で考えてるんですけど」って言われて。「バクマン。」は当然知ってたんですけど、あれは無理だよって答えたんです。というのも、まず長期連載の作品が映画に向かないっていうのと、「バクマン。」の1番のポイントである〈ジャンプで連載しながらジャンプの内幕を描いていく〉という部分・・・。そもそも主人公が漫画家と原作者っていうところがメタだし、いろんな漫画のオマージュが込められた複雑なメタ構造は、漫画だからこそ成立しているものなのでね。だけど、それから何回か話してるうちに、ストレートな青春モノとして描いたら映画でいけるんじゃないかと。あとは仕事ムービーね。そこでプロデューサーが言ってきたのが、「伊丹十三監督の「マルサの女」と北野武監督の「キッズ・リターン」をミックスしたような感じでいけるんじゃないですか?」って。自分は漫画から大きな影響を受けてきたし、漫画家モノはいつか絶対やりたいなって思ってたんですよね。

©2015 映画「バクマン。」製作委員会

――たとえば「モテキ」では久保ミツロウさんと原作と脚本を同時進行で制作するという手法をとられていましたが、漫画家さんと密に仕事をする機会もあった大根監督が、職業としての漫画家に興味を持たれたのは、どういう部分だったんでしょう?

久保ミツロウと知り合う前にも漫画家の知り合いは何人かいたんです。江口寿史さんを中心とする吉祥寺界隈の人たちなんかと飲んで話したりすると、やっぱり漫画家って人種として面白いんですよね。職業に貴賎なしとは言いますが、僕はこの世で一番えらい職業って漫画家なんじゃないかと思っていて。表現を生業とするジャンルの中でも、物語を考えて、絵も描いて、さらにそれが成功した時の影響力の大きさ・・・。世界中にいろんなカルチャーがある中で、漫画っていうジャンルにおいては日本が間違いなく飛び抜けて異常な発展をしていったジャンルであるのは間違いない。それを作っている漫画家っていう人たちに興味があったっていうのがありますかね。あと、特にジャンプで連載しているような漫画家っていうのは自分の仕事と似ているところがあるなと思っていて。

──それはどういうところで?

深夜ドラマなどは割合と数字も気にせず自由にやってきましたが、映画に関しては確実に当てなきゃいけない。東宝メジャーの映画みたいなものに関しては、とくにそういう想いは強くあって。ジャンプで連載する漫画家も、作品性はもちろん、ヒットすることが大事で。それは単純にヒット至上主義ということではなくてね。やりたい事と当てる事のバランスをどう着地させるかみたいなところは、自分も映画撮る時には考えていることであって。そこに自分の想いと重なる部分がありました。あと、僕はテレビの仕事をずっとやってきたわけですけど、ドラマなんかは最初から終わりが決まってるからいいんですよ。だけどバラエティは毎週数字のことを気にして、あそこがダメだからああしようみたいなことを続けなければならない。それでいて終わる時っていうのは、やっぱり数字が落ちた時なんですよね。人気がなくなったから終わる(笑)。週刊漫画誌の連載っていうのは、それに近いものがあるのかなって思う。人気があるうちは物語をどんどん引っ張っていく。それで半ばちょっとインフラ起こしてしまうような漫画もあるじゃないですか?敵の動きが大きくなりすぎちゃったり。

──連載当初に比べたら、ずいぶん壮大なテーマになっちゃったり?

そうそう(笑)。そういった部分をはじめ、いろいろと自分の仕事と重ねられる部分があったっていうのは、映画化を決めた上でも大きかったかもしれないですね。まぁ、編集者と漫画家の関係も、プロデューサーと監督の関係に似てたりするし。

■美術や小道具のこだわりは、ちばてつや先生からの影響が大きい

──映画「バクマン。」は、楽しんで観ているうちにあっと言う間に終わってしまったようなテンポの良さを感じました。

テンポに関しては、編集によるところが大きいですね。すごく面白い漫画を読んでる時って、物語の先が気になって、ページがどんどん進んでしまう感覚ってあるじゃないですか? あれを映像編集において表現してみたかったんですよね。

──たとえば、よもや地味になりそうな漫画を描く場面も、活劇仕立ての面白い表現になっていました。そういった漫画を描くシーンにおいて注力したところは?

執筆シーンのいくつかは映画の山場になってくるっていうのは、脚本を書いてる段階からわかっていて。それをストレートに撮ってしまうと、いくらカメラワークやアングルを変えたところで手詰まりしてしまう。二人が初めての漫画を描くところは割とドライな感じで忠実に撮っていくというように、二人の漫画を描くテクニックに合わせて映像表現も変えていきました。たとえば、最初の方でVFXがどんどん重なっていって、360度にぐるぐる回りながら画が動いていくところは上田くんというディレクターが作ってるんですけど、アイディア的にもテクニック的にも精度が高くない表現にわざとしていて。そこからプロジェクションマッピングを使ったり、バトル・シーンも立体的な表現になっていって。最後はまた、地味な感じで、ひたすら描くというストレートな表現に戻る。

──主人公2人の漫画家としての技術が上がっていくごとに、VFXの効果でカオティックな映像になって、スピード感も増していきますね。中でもサイコーとシュージンのコンビと、ライバルの新妻エイジが、本当に巨大化したペンやカッターもって戦いはじめた時は大笑いしました。そのアクション・シーン自体も、ジャンプで連載しているような冒険モノの漫画とダブって見えてきたり。

でっかいペンやカッターを持って暴れまわる、ああいうバトルのシーンを描くっていうのは、わりと自然に出てきたアイディアではありましたね。純粋に面白くなりそうだなって。“ペンは剣よりも強し”みたいなこともどっかでやりたかったのかもしれない。文化系だって戦ってるんだぞっていうね(笑)。

──「モテキ」の時にも小道具へのこだわりを大きく感じたのですが、今回の「バクマン。」の、たとえば作業場のシーンでのこだわりはいかがでしょう?

割と自分の中で普通のことなんです。漫画を描く作業をしていたら、あのくらいの感じにはなるでしょうしね。あと、自分の中では隙間症みたいなことはあるんですかね。だけどそれで美術だけが際立ってきちゃうっていうのは本末転倒だと思うので、どう生活空間を作っていくか、その部屋の匂いまでど表現するかというところを考えます。だから格好よくしたいとか、隅から隅までディテールだけで埋めたいとか、そういういうことでもないんです。それは意外と自分が読んできた漫画の中でも、ちばてつや先生の作品から影響がかなり大きいと思います。背景を全部手書きで定規を使わずに描いていくような、ハンドメイドな感覚には、非常に影響を受けました。

──編集部のシーンは、実際に集英社のオフィスを知ってるとそのまんまに再現されていて驚いたんですが、実際に現地でロケしたシーンもあるんでしょうか?

廊下は編集部で撮影しましたね。あと、最初に出てくる編集者・服部の机のカットも、ちゃんと編集部で撮ってます。編集部の雰囲気を忠実に再現したいというのはありました。そこは嘘ついちゃいけないなって思って。もちろん、大きな嘘はいくつかついているんですよ。ジャンプで新連載を立ち上げる時に、あのレベルの絵を描くのにアシスタント雇わないとか絶対にありえないし、そんなの編集者が絶対にアドバイスするだろうしね。そういう嘘はあるんですけど(笑)、フィクションを美術なりセットなりのリアリティで覆い隠すっていう狙いはあったかと思いますね。

■“友情、努力、勝利”なんてサムい?

©2015 映画「バクマン。」製作委員会

──山田孝之さん演じる編集者の服部のセリフに「友情・努力・勝利なんてサムいと思ってた」というのがありますが、週刊少年ジャンプのメインテーマを同じように捉える人も多いと思うんです。それをあえて今、真正面からあのセリフを言わせているのが印象的でした。

それは原作にもあるセリフなんですが、週刊少年ジャンプの編集部の取材をずっとしていて、担当になっていた門司(もんじ)くんという方がいて。彼は服部くんのビジュアル的なモデルにもなっているんですよ。Tシャツとか本人から借りたりしてるんですけどね。そんな中で、今のジャンプがじゃあ"友情・努力・勝利”だけをテーマにやっているかっていえばそんなことなくて。下手すれば半分以上は、邪道寄りのものだったりするんですよね。若い編集者と話してても「俺らもそんなに友情・努力・勝利とか意識していないです」みたいなことを言っているんですよね。だけど、彼ら自身もどこかその“友情・努力・勝利”を信じている部分もあるんですよね。そういう話を現場の編集者から聞いて、これはどこかのシーンで服部に言わせたらすごく効いてくるんじゃないかなっていう風に思って。山田くんの芝居もいいですからね、あそこは。100点満点の芝居でしたね。

■僕自身は、純然たるクリエイターではない。

現場では大根監督もカメラをまわす。 ©2015 映画「バクマン。」製作委員会

──では最後に。ドラマから映画監督までされてきましたが、ディレクターとして大根さんの中で一貫したテーマはありますか?

うーん、そういうのはそんなにないんですけど(笑)。僕自身は、純然たるクリエイターではないと思っていて。アーティスト性もないし才能もないし、センスもそんなにない。ただ客観性においては、結構自信があるというか。それはすなわちお客さんの目線で作るっていうこと。いいお客さんなんですよ、僕自身が。普通、監督が「俺が観たいものを作るんだ」っていうと傲慢な感じがするけど(笑)、いいお客さんである俺が、客としてみたいものを作りたいっていうことだから、ちょっと違うんですよね。もちろん、40億、50億のヒットってなるとまた違う思考回路が必要になってくるんですけど自分が観たいメジャーの邦画って、この感じかなっていう風に作ってます。

──ちなみに大根さん自身が映画監督になりたいと思ったタイミングって、いつ頃だったんですか?

映画監督になりたいって明確に思ったことは一度もないと思います。映像の仕事をしたいとかテレビの仕事をしたいっていうのは、小学生ぐらいからなんとなく思っていたんですけど。でも、子どもにはディレクターが何をするとか、監督が何をするかとかわからないじゃないですか。とりあえずこの世界に入って、AD経験を積んで、それがいつの間に映画監督になってた(笑)。だから未だに映画監督っていう意識はないんですね。“深夜ドラマ監督”って言われれば、そうだよって応えるけど、“映画監督”って言われると、「いや、ちょっとそんなんじゃないです」って思っちゃう(笑)。

──その感覚こそが、日本の映画界の中で大根監督の独特な立ち位置を生み出しているんでしょうね。

映画監督っていうと、だいたいマッチョな感じがしちゃうじゃないですか? 俺は、軽く扱われたいんですよね(笑)。

■ 映画「バクマン。」

日本|120分|東宝|2015年 監督・脚本: 大根仁 エグゼクティブプロデューサー: 山内章弘 企画・プロデュース: 川村元気 出演:佐藤健、神木隆之介、染谷将太、小松菜奈、桐谷健太、新井浩文、皆川猿時、 宮藤官九郎、山田孝之、リリー・フランキー 公式サイト:映画「バクマン。」公式サイト ※上映劇場一覧はこちら。 ©2015 映画「バクマン。」製作委員会

取材・文:宮内健 編集:white-screen.jp

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