イベントレポート 4/25開催 「日経クロストレンド」開発で見えてきたマーケティング新潮流 

2018年5月29日

イマジカデジタルスケープ スペシャルセミナー
「日経クロストレンド」開発で見えてきたマーケティング新潮流 開催レポート

日経クロストレンド開発で見えてきたマーケティング新潮流


 

AIやIoTの急激な発展によってめまぐるしく変化する社会にあって、現役マーケッターやイノベーターが捉えておくべき新潮流について語る、イマジカデジタルスケープ スペシャルセミナー『「日経クロストレンド」開発で見えてきたマーケティング新潮流』を、2018年4月25日(水)に東京ガーデンテラス紀尾井町のYahoo! LODGEで開催しました。

当日は企業などで活躍するマーケッターやイノベーターの方々58名が参加され、セミナーの最後には名刺交換も行われ、お互いに情報交換をするなど、和やかで有意義な時間となりました。


【第1部】 未来を変える「本物の潮流」3選 ~日経クロストレンド開発を踏まえて~

第1部では、『未来を変える「本物の潮流」3選 ~日経クロストレンド開発を踏まえて~』と題し、日経BP社 日経クロストレンド開発長の杉本昭彦氏をゲストに迎え、「日経クロストレンド」開発にあたって見えてきたマーケティングの新潮流についてご登壇いただきました。


杉本氏01

 

未来を変える「本物の潮流」の一つ目は「ディープラーニングの驚異的な進化」です。2012年にGoogleが猫を認識できるディープラーニングに成功したのを皮切りに、2016年にはコンピュータがついに囲碁チャンピオンを破り、その後も電力削減や自動運転技術にディープラーニングが貢献するなど、 飛躍的な進化を遂げました。最初は囲碁やゲームなどの閉じた空間で活躍していたディープラーニングですが、たった6年間で、現実社会に威力を発揮するまでになったのです。

「いろいろな会社がディープラーニングの学習済みのものをAPIとして出していますが、あとは作る人の創造性が問われているというか、それをいったいどう応用したら実際のビジネスに生かせるのかということが、いま問われているのではと思います」と、杉本氏。

潮流の二つ目は、「GUIからVUIへのシフト」。GUIとは画面上で項目を選択する従来のグラフィカル・ユーザー・インターフェースのことで、VUIとは音を通じて機械操作を行う次世代のボイス・ユーザー・インターフェイスのことです。

VUIの象徴ともいえる「アマゾンエコー」や「グーグルホーム」が発売され、これが本当に定着するのか否かに、多くの人の関心が集まっています。杉本氏がアメリカのベンチャーキャピタルを取材したところ、「アメリカではスマートスピーカーの普及率が約2割という調査結果が出ていて、利用頻度が毎日という人は約6割います。買い物経験がある人も26%いて、その中で毎日買物利用する人は11.5%います。スマートスピーカーを使ったショッピングは、これからアメリカで大きな市場規模になるのではとのことでした」とのこと。


投影資料01

 

「今はVUIの第一次ブームなのかなという気がします。昔に比べて声は良く理解してくれるようになったのですが、たとえば『アレクサ、ラジコでJ-WAVEかけて』と言うと、“アレクサ”というウェイクワード(スマートスピーカーを使うときに呼びかける単語)と、“ラジコで”という呼び出し名と、“J-WAVEかけて”という動作の指定を、作る人が全部ルールにしているので、いわゆる機械学習による柔軟な対応というよりは、ルールに応じて動いているだけなのです。自然対話技術が1980年代からまったく変わっておらず、この“一問一答の壁”が乗り越えられれば、必ず第二次ブームがやってくると思います。ここは日本企業にも、ぜひがんばっていただきたいですね」と力強く語っていました。

そして潮流の三つ目は、「データの世紀」です。ビッグデータブームはすでに5年ほど前から始まっており、モノと売って終わりではなく、そこに紐づくデータを活用し、収益を上げる手法は、日本でもミズノの野球バットスイング解析システムをはじめ、スマホで肌を撮影して一人ひとりに合ったスキンケアを提供する資生堂のパーソナルスキンケアシステムなど、さまざまな企業が実践段階に入っています。

このように、「ディープラーニング」「ボイス・ユーザー・インターフェイス」「ビッグデータの活用」の3つが、デジタル化が進む未来の大きな潮流になるのではとのことでした。「これからの時代は、昔成功した人のアドバイスを聞くよりも、いま実際に事業をやってらっしゃる方々が、どんどん新しい定石を作っていくべきだと思います」と語る、杉本氏。日系クロストレンドとしても、そういう方々の支援をしていきたいとのことでした。

【第2部】マーケッターの働き方に関する対談

第2部では、電通マクロミルインサイト チーフデジタルオフィサーの本間充氏を迎え、第1部に登壇された杉本昭彦氏と共に、マーケッターの働き方に関する対談を行いました。


本間氏01

 

題材となったのは、日経クロストレンド創刊に合わせて実施した「マーケッターの実情調査2018」のアンケート結果です。企業のマーケティング業務従事者が抱えている課題や転職意向など、リアルな実態に対して、お二方が鋭く切り込みました。

まずは、日経クロストレンドが“P&Gマフィア”を連載していることもあり、「P&G出身のマーケッターが、次々と目覚ましい業績を上げているのはなぜか?」という話題になりました。それに対して本間氏は、「一番ポイントになっているのは、20代の若者がP&Gのブランドマネージャーを経験していることじゃないでしょうか。若いうちに事業戦略に極めて近いポストに置かれることで、ロジカルシンキングが求められ、会社の収益を上げるという感覚も身に付きます」と発言。

さらに本間氏は、「日本のドメスティックなマーケティングカンパニーは、どちらというとお客様ではなく、社内の上役や経営者の合意形成をどうとるかに重きをおきます。一方、P&Gはオブジェクト指向なので、目標に対してどれだけ達成するかを重要視しています。1年目のP&Gの社員教育では、必ず『上司に臆せず質問しなさい』と言われるそうです。そして、自分が行う仕事の最終目標が何なのか、それによる自分の成長ポイントが何なのかが腑に落ちていなければ、仕事をしてはいけないと言われるそうです」と語り、参加者に驚きを与えました。

また、本間氏は日本のマーケッターがデジタル担当とアナログ担当に分かれている点の不自然さについても、言及しました。

「お客様はデジタルとアナログの両方を使っているのに、わざわざ担当を分けるというのは変ですよね。インターネットテクノロジーを使いこなすことがミッションなのではなく、本来は広告もしくはパブリックリレーションシップ、さらには一層上のサービスまで、トータルで提供しなければならないと思います。

たとえばグーグルは、日本ではインターネット広告を使っていません。テレビ広告は使っていますが、その次に使っているのがダイレクトメールです。企業の宣伝部長に向けて、『このカギを開けたかったら、グーグルで検索』というダイレクトメールを送るのです。そうすると、宣伝部長は『これは挑戦状だ!』と思って、カギを開けます。そしてカギを開けたところで、グーグルの営業がすかさず電話をしてアポを取るというアナログ手法を活用しています。

また、ディノス・セシールも、ダイレクトメールを効果的に使っています。お客様がオンラインショップのカートに商品を入れたままプラウザを閉じると、ディノス・セシールは48時間以内に、その商品が印刷された細長い郵便をお客様に送るのです。自分のためだけに印刷された郵便が、インターネットよりもクオリティの高い画像で送られてくれば、たぶんお客様はキュンときますよね」と、ユーザー心理を見事に付いた2社の戦略を紹介。「デジタルだけではなく、ユーザーが見た瞬間にどう思うかを考える。これが今のマーケティングだと思います」と、マーケッターに向けて厳しい一石を投じました。


杉本氏、本間氏

 

また、マーケッターの転職意向に関するアンケートに関しては、杉本氏が「現在の勤務先で働きたいという人が47.0%いて、仕事で達成感を感じている人が47.4%。転職意向の人は28.2%いて、仕事に達成感が無い人は29.3%います」と、仕事の達成感のあるなしが今の仕事を続けたいかどうかに深く関わっていることを強調しました。

話題が社員の育成の話に及ぶと、本間氏は「若手に話を聞いてもらう時間を作るようにしています。私だけではなく、私の人脈の中から若手が会いたい人がいたら誘って、その人の話を若手に聞いてもらいます」と発言。杉本氏は、「記者は一匹狼的なところがあるので、育成というと難しいですが、やっていることといえば自由に働ける環境を作ってあげることですかね。雑用みたいなことを自分がやってあげて、話を聞いてあげて、あとは遠慮容赦なく赤字を入れます(笑)」と語りました。従来のトップダウン的な発想とはまったく違う発言に、参加者は共感の表情を見せていました。


会場風景

 

ほかにも、マーケッターの今後の課題についてのさまざまなトークがあり、マーケティング部門で働く参加者に新たな課題を投げかけた2時間半でした。

 

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