「効果的な学習方法」の再考

私たちの知っている学習方法は…

“学習方法”ときいてパッと頭に思い浮かぶのは、「教室で先生の話を聴く」とか「机に向かって本を読む」といったイメージでしょうか。私たちは小学 生以来、長年の学校経験を通じて「それに精通している人の話を聴いたり、本を読むこと」が学習方法の代表格だと無意識のうちに教わってきたように思いま す。

そのため、大人になってから新たに何か勉強しようと思い立ったときも、自然と「本を読む」「セミナーに参加する」「スクールに通う」といった選択肢から学習方法を選ぶ方が多いのではないでしょうか。

しかし、それ以上に踏み込んで学習方法について語れと言われても難しい。「信頼をおく人が薦める情報を参考にする」とか、思いつくのはそれくらい。「本を買った、講座に申し込んだ、あとは頑張ってやるのみ!」私たちは長年の学習経験の割に、効果的な学習方法について多くを知らないような気がします。

“受け身”な学習方法の限界

では、ここで一つ驚愕の数字をご紹介しましょう。なんと、授業で学んだ情報は下図のように、5日後には80%と、ほとんど頭の中から消え去るという調査結果があります。「そんな、あんまりだ…」と途方に暮れそうな数字です。

授業で学んだ情報はどれくらい記憶されるか
授業で学んだ情報はどれくらい記憶されるか

本を読むのでも、要所要所に蛍光ペンで線をひいたり、繰り返し唱えて丸暗記するだけでは、日常的に活かせる知識としてなかなか定着しませんよね。 “期日の決まったテストに合格するための学習方法”としては有効かもしれませんが、“自分の中に根をおろして日常的に活かせる知識・スキルを学習する方 法”としては力不足のようです。

もちろん、セミナーに足を運んだり本を読んだりすることが無意味だという話ではありません。何かを学ぶとき、それに精通する人から体系立てて教わる のは大変能率的です。ただ、「話を聴く」とか「本を読む」だけでは受動的。どんなにたくさんの学習体験をもっても、それをそのまま放置してしまえば体験の 持ち腐れです。素晴らしい学習体験をもっているからといって、それを自分が学習できているとは限らない、これは肝に銘じておかねばなりません。

「効果的な学習方法」とは?

では、どうすればいいか。脳科学者の世界的権威として知られるアルベルト・オリヴェリオ氏は、著書「メタ認知的アプローチによる学ぶ技術」の中で「学習するというのは、さまざまな要点や概念を編集して、それらを相互に関連づけること」と表しています。これを、“自分で”やってみるのです。

メタ認知的アプローチによる学ぶ技術
メタ認知的アプローチによる学ぶ技術

具体的なアクションとしては、セミナーで話を聴いたり本を読んだりしたときに、そこで学習した内容を自分の力で図式化してみることです。ただメモをとるのではなく、学習した内容をグループ分けしてそれを時系列や何かで並べかえたりして図にまとめてみてください。

新しく学んだ概念や情報を図式化しようとすれば、聴いた話や読んだことを自分の頭の中で解釈し直す必要が出てきます。それを表すにはどんな要素が必 要で、ある要素が他の要素とどんな関連性をもっているのか、そういうことを整理していかないと図に表すことはできません。必然的に自分の頭で考え、自分の 手を動かすことになり、これが能動的で有意義な学習体験になります。以下4つの構成法を参考まで。ぜひ“自分で描いてみる”ことをやってみてください。

階層化 いくつかの概念や情報をある基準に従ってグループ分けし、序列化して高レベルから低レベルに並置したもの
連続化 いくつかの概念や情報を一連の経路、出来事、時期、段階など特徴的な基準に血違って図示したもの
マトリックス化 「連続化」の手法に「階層化」を組み込んだもの
グラフ化

いくつかの概念や情報を棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなど図表を使い表現したもの。矢印など加えると、動きのある現象を示すこともでき

図式化の4つの構成法

ちなみに、こういった図表はセミナー資料や本の中に用意されていることが多いもの。それは、講演者や著者があらかじめその作業をしてくれているからです。しかし、どんなに分かりやすく図式化されていても、それを見てわかりやすいなぁと眺めているだけでは自分の中に入ってきません

新しいものを学ぶときには、ただ聴いたり読み上げたりするのでなく、自分の頭と身体を使ってその情報をいじってみること。新しいもの同士に限らず、自分がすでに知っているものとの類似点を探ったり関連性を見つけたり、自分のもつ知識体系に組み込むようにすると、自分の中で意味をもち、定着していきます。

せっかく習得したスキルも数年単位で入れ替えを余儀なくされる時代。学習し続ける能力は生涯にわたって役立ちます。ぜひ意識的に磨いていきたいものです。

(デジタルスケープ キャリアカウンセラー 林真理子)

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