「できること」をやらないという選択

「できるから作っちゃう」症候群

年度末を迎えた最近は、クライアント各社の制作チームが「来年度どういう体制で社員教育をしていけばいいか」といったご相談を受けて提案する仕事を中心にしていました。

私は時期によって結構やっている仕事が違うのですが、自分としては「キャリアカウンセラーとして(特に能力開発の分野で)専門的に人のキャリアをサ ポートする仕事」という大枠をもって、あとは当面あまりアウトプットの形に固執せず仕事していけたらいいかなぁと思っています。

そんなわけで、このところ制作部門のマネージャーをされている方々と社内の人材課題についてお話しする機会が多くありましたが、ここでよく聞かれる 話の一つに、制作経験をもつ社員はプロジェクトをディレクションする立場に変わっても、ついつい「できるから作っちゃう」という課題があります。

単純に考えて「できる」のは良いことです。「できない」より「できる」方が素晴らしい。「作れない」より「作れる」方が素敵。すると、「できるから 作っちゃう」んですね。実際、「お客さんの要望に少しでも早く対応しようと思って」とか、「自分でやっちゃった方が速いし効率的」とか、そちらに転がる理 由は身の周りにゴロゴロしています。

「できるから作っちゃう」のは考えもの

ただ、ディレクターが安易に「できるから作っちゃう」のは考えものです。なぜか。それは、あなたの時間を制作実務に割くことで、自分が本来担うべきディレクション業務を少なからず放棄することになるからです。

できるから作っちゃった場合の発展課題

自分 自分の本来やるべきことがおろそかになる
制作
メンバー
指揮官を失う、成長機会が奪われる(難易度の高い仕事、トラブル対応など)
会社 ノウハウが継承されない、組織力が一向に高まらない

「自分の本来業務は放棄していないし、進捗管理も並行してしっかりやってるよ!」という人も、メンバーの主体的な判断には手が出せません。あなたが 夜遅くまで制作のフォローをしているのを察すれば、本来ならあなたに相談することを自己解決してしまうメンバーがいるかもしれません。

そこまでケアするためには、相当な事前のフォローが必要です。特にアップアップしたプロジェクト終盤やトラブル発生時こそ、よくよく考えて今自分が何の役割で動くべきなのかを冷静に考えて振舞うことが大切ですね。

何がなんでも「できても作るな」という話じゃない

ここで注意したいのは、ディレクションする役割を担ったら、「できても作るな」という話をしているわけではない、ということ。

そもそも、プロジェクトのディレクションと制作実務を兼任している方もいるでしょうし、案件の予算やメンバー構成によって自分も制作に入るという方もいると思います。また、納期間近やトラブル時のフォローで一時的に兼務することが妥当なケースもありますよね。

大事なことは、その時自分が二足のわらじをはいていることに自覚的であることです。何と引き換えにその仕事に時間を割くのか、冷静に優先順位を見極めた上で判断し、「選択する」ようにしたいですね。

自分を引き伸ばすのは「やるべきこと」「やりたいこと」

なお、先ほど「できるから作っちゃった場合の発展課題」に挙げたのは、プロジェクトの成功や制作メンバーに悪影響を及ぼしかねないという話でしたが、自分自身のキャリアを形成する上でも、この役割認識というのはとても重要な視点です。

「やるべきこと」でなく「できること」を軸にして仕事を続けていると、自分のできることは一向に高まっていきません。「他の人がやるべき仕事/自分ができる仕事」に割いている時間があったら、断然「自分がやるべき仕事/自分にとってチャレンジングな仕事」に時間をあてた方が、ぐんと自分の可能性を押し上げることになります。

こういった「やるべきこと」の経験の積み重ねによって、自分の想定以上に「できること」が深まったり広がったりしていくわけです。また、「できるこ と」「やるべきこと」のほかにもう一つ、自分が「やりたいこと」という視点も併せ持って、時々仕事の現場を離れて、自分の仕事具合をチェックするようにす ると、あなたオリジナルのキャリアデザインができると思いますよ。

(デジタルスケープ キャリアカウンセラー 林真理子)

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