自分のこととして考える

自分のこととして考えていますか?

皆さん自己啓発本とか読んでいるときって、自分に言われていることだと思いながら読んでいますか? 私は癖なのか体質なのか、著者が読者の皆さんに語りかけているのを少し遠まきにみるようにして読んでしまうことが多くて…。当事者意識に欠けるというか、それじゃ身になるものもならないよなぁと読後反省することがままあります。

そんな私ですが、最近読んだ山田ズーニーさんの『おとなの進路教室。』は、書いてあることについて自然と「自分のこととして考える」気にさせられる本でした。

おとなの進路教室。
おとなの進路教室。
山田ズーニー(著)

なぜかと考えてみると、“おとなの進路”なんて自分のことは棚にあげて語ってしまいがちなテーマを取り上げながら、彼女自身がとことん、この本の中で「自分のこととして考える」を実践していたからだと思います。

進路を考えるときの3要素

この本、粒ぞろいの30のLessonで章立てされているのですが、なかでも印象的だった一つを取り上げてみましょう。ここに登場するH先生の話では、自分のこれからを決めるとき、3つの要素を考えるといいとのこと。

自分の進路を決めるときに考えるといい要素

WANT
やりたいこと

自分の夢やあこがれ、希望
※「○○になりたい」「もっと面白い仕事をしたい」

CAN
できること

自分が経験・スキルを積んできたこと
※「前職の経験で、○○の仕事ができる」

MUST
やるべきこと

人生の岐路で出くわす、自明な、やるべきこと
※受験生の受験勉強、親の介護など

人それぞれの答えのあり方

自分自身について考えることをしなければ、結構安易に「WANTをもつべし」とか「CANなくして道なし」とかいう指南で終わってしまいそうな話です。しかし、ズーニーさんは自分が16年勤めた会社を辞めて独立したものの、しばらくは、どうやって社会にエントリーしていいかわからず、先の見えない生活をしていた過去を振り返って、この3要素を深く考察していきます。

そうしてたどり着いたズーニーさんの答えは……

CAN=過去の経験やスキル、を活かすことにもっと早く気づいていれば、もっと早く、もっとスムーズに社会に入っていけたかもしれない。でも、それが、面白かったかどうか?失敗しつつも、こりず、WANTに手を出しつづけた。それがよかった。だから、少しずつでも前に進んでこられたのだ。

独立6年するうちに、新しいことも、次第にCANになっていく。ふと気がつくと、CANで手一杯の自分がいた。過去の経験・スキルを太らせてばかりでは、それは、希望は減るだろう、といまさらながら思った。

山田ズーニー「おとなの進路教室。」より

答えのあり方は人それぞれです。ズーニーさんのような答えもあるし、「過去の経験やスキルを活かすことにもっと早く気づいていれば…」と反省する人もいる。「自分があそこで経験に基づいて進路を選んだのは賢明な判断だった」と振り返れる人もいる。

今、CANをもたない人であれば、まず何をしなければならないか、MUSTを考える必要に迫られます。答えのあり方は、その人の状況によっても、志向性や価値観によっても大きく変わってくるわけですよね。

もう一歩踏み込んで、自分のこととして考えてみる

現実問題として「自分のことを考えてみる」って、こういうことじゃないでしょうか。安直な正解なんてないし、他の人の答えが自分にとって最良とも限らない。だから、「~すべし」「~であるべき」なんて指南は、そこどまりでは多くの場合意味をもたないんですよね。

じゃあ、人や本から学ぶことが何にもないのかっていうと、そういうことでもありません。例えば、先の3要素を知っていれば、自分が今どんな状態にあるかを3つの軸で整理して捉えることができますし、今後何を重視して行動を起こしていけばいいか具体的な計画を立てることができます。

また、それをテーマに他の人が「どんなふうに考えるか」を知ることで、「それと照らし合わせて自分はどうか?」をより深く考察することもできます。大切なのは、そういう指南なりなんなりを受け取ったときに、そこからもう一歩踏み込んで、「自分のこととして考えてみる」ことができるかどうかなんですよね。

この本は、自分を「もう一歩踏み込んで」に誘ってくれる良書でした。今仕事に就かれている方はもちろん、これから社会に出る学生さんにも、定年退職されて今後の進路を考える方にもお薦めしたい一冊。そして、ぜひ「自分はどうか?」を問いかけてみてほしいと思います。

(デジタルスケープ キャリアカウンセラー 林真理子)

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