「キャリアアンカー」で自分の仕事観を知る

若いころとは違う

若いころは何はともあれ「仕事内容」を軸に職を選ぶことが多いですよね。特にこの界隈の、クリエイティブ職に就かれた方というのは、その傾向が強いんじゃないでしょうか。労働条件など二の次三の次、希望する仕事ができるか否かでキャリア選択をしたという方が、少なくとも私の周辺にはうじゃうじゃいます。

でも、そうして希望の職に就いて、歳を重ね経験を積んでいくと、自分のキャリアについてなんらかの方向性や決断を見出そうとするとき、どこか若い頃とは事情が異なってきていると感じられることってありませんか?

仕事内容だけじゃ選べなくなっていく

昔は「デザイナーになりたい」という骨太な意志一つでいろんな決断を下せていたのに、今は「デザイナーであり続けたい」という意志だけでは、今後も長くデザイナーであり続けることを決断する根拠に乏しい感じがしてしまったり、人からもそう突っ込まれて言い返せなかったりする。

この先もずっとデザイナーとして食べていきたいなら、どのようなデザイナーとして自分の価値を高めていくのかなんて問われ出したり。体力的・経済的な面を考えると、そろそろマネジメント側にキャリア転換したほうがいい気がしてきたり。

仕事・自分・家庭のバランスを考えると、これまでとは違う時間の使い方を考えていく必要があるんじゃないかと感じ出したり。「仕事とあたしとどっちが大事なのよ」なんて詰めたり詰められたり…

キャリアアンカーで自分の仕事観を知る

仕事と長くつきあっていくと、新たに考えなくてはならない問題に直面します。また何らかの判断をするときに、若い頃よりも広がりや深さをもってさまざまな観点から判断することが求められるものですよね。若い頃とは異なる観点から自分のキャリアを舵取りしていく必要が出てきます。

そうした長期的なキャリアを考えるときによりどころとなるのが、E.H.シャイン氏の提唱する「キャリアアンカー」という概念。立正大学心理学部の宮城まり子教授は著書「キャリアカウンセリング」の中で、以下のように表しています。

キャリアアンカーとは…

概念的に言えば「個人のキャリアのあり方を導き、方向付ける錨(いかり)、キャリアの諸決定を組織化し、決定する自己概念」すなわち、長期的な職業生活において「拠り所となるもの」であり、船でいえば錨にあたるもの

「どのような仕事に就きたいか」という考え方は、答えが明示的で分かりやすい反面、時代の波を受けて中身が変容しやすいですよね。またキャリア選択の指針としては「部分」をなすものと言わざるをえません。

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キャリアカウンセリング
宮城まり子(著)

一方「どんなふうに仕事していきたいか」というキャリアアンカーの考え方は、自分の価値観によるもの。時代の変化のあおりを受けて見失うものではありませんし、自分が長く仕事と関わっていく上で全体像を捉えられるものといえるのではないでしょうか。

8種類のキャリアアンカー

以下8種類のキャリアアンカーから、自分の優先順位、それに優先しない順位も整理していくと、これまでよりずっと広がりある自分の仕事観を把握することができると思います。

専門コンピタンス

企画、販売、人事、エンジニアリングなど特定の分野で能力を発揮することに幸せを感じる

経営管理コンピタンス

組織内の機能を相互に結びつけ、対人関係を処理し、集団を統率する能力や権限を行使する能力を発揮し、組織の期待に応えることに幸せを感じる

安定

仕事の満足感、雇用保障、年金、退職手当など経済的安定を得ること、一つの組織に勤務し、組織への忠誠や献身などが見られる

起業家的創造性

新しいものを創り出すこと、障害を乗り越える能力と意気込み、リスクをおそれず何かを達成すること、達成したものが自分の努力によるものだという欲求が原動力

自律(自立)

組織のルールや規則に縛られず、自分のやりかたで仕事を進めていく、組織に属している場合、仕事のペースを自分の裁量で自由に決めることを望む

社会への貢献

暮らしやすい社会の実現、他者の救済、教育など価値あることを成し遂げること、転職してでも自分の関心ある分野で仕事をする機会を求める

全体性と調和

個人的な欲求、家族の願望、自分の仕事などのバランスや調整に力をいれる、自分のライフワークをまとめたいと考えており、それができるような仕事を考える

チャレンジ

解決困難に見える問題の解決や手ごわい相手に打ち勝とうとする、知力、人との競争にやりがいを感じる、目新しさ、変化、難しさが目的になる

出典:「キャリアカウンセリング」宮城まり子著(駿河台出版社)

長期的なキャリア選択の拠りどころを持とう!

8種類のキャリアアンカーを眺めていると、一見漠然としていて頼りない印象を受けるかもしれません。でも、先々を見据えて何かを決断するときに取り出してみると、足腰のしっかりした指針となって、大いに自分を助けてくれると思います。

こういった概念をあわせもって、複数の観点から自分のキャリアを舵取りしていけるといいですよね。さて、あなたは8種類のキャリアアンカーのうち、どれにピン!ときましたか?

(デジタルスケープ キャリアカウンセラー 林真理子)

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