SEIKO セイコーウオッチの「ダイナミックレンジ」を感じるデザイン セイコーウオッチ株式会社 社員インタビュー 2回目

デザイナーが個々の力で挑む「セイコー パワーデザインプロジェクト」

2002年から2009年まで、毎年一般に公開する展覧会形式で開催され、時計のデザインが秘める様々な可能性を新鮮なスタイルで 披露してきた「セイコー パワーデザインプロジェクト」。2009年のプロジェクトディレクターを務めたデザイン統括部・丸山哲朗氏は、8回目のテーマ 「ASTRON 40」についてこう振り返る。

丸山:2002年から2008年までパワーデザインプロジェクトを続けたことによって、各デザイナーの経験値も上がった と実感していました。そのため、そのまま継続するのではなく、2009年は「クオーツアストロン」の発売40周年を好機と捉え、自分たちのヘリテージに立ち戻ろうと考えたのです。

それまでのプロジェクトがどちらかというと、デザインの価値自体に注力する方向性が強かったのに対し、「ASTRON 40」では、温故知新、ブランドの価値を改めて見直すことを軸にしながら進めました。

「アストロン」は、1969年にセイコーが世界で初めて商品化したクオーツ式腕時計だ。この「アストロン」オリジナルモデルを、7名のデザイナーが各々の感性でアレンジ。実在の時計をテーマにしたのはパワーデザインプロジェクトで初めての試みだった。

丸山:我々自身にとっては「アストロン」の史実を現在の価値に展開するとどうなるかという課題でもありました。普段、デ ザイナーがやっていないことにプロジェクトとして取り組んでみるのは、非常に意味のある試みです。そして、腕時計の現在の立ち位置を見つめるためにも重要 だと考えています。

こうして開催された8回目のパワーデザインプロジェクト「ASTRON 40」では、輝かしい歴史を記念するスタイルでまとめたもの、アストロンという言葉からヒントを得た宇宙的なコンセプトのものなど、計40本の時計が発表された。

丸山:伝えたかったことは、我々のデザインが世界初の「アストロン」から40年間続いている事実、そして、腕時計はたっ たひとつのデザインからテイストも価格もまったく異なるモノに生まれ変わる可能性を持っているということでした。元となるアストロンの形には手を加えず に、参加デザイナーの個性と、腕時計が持つダイナミックレンジの広さを、表現することができたと実感しています。

日常とは異なるプロジェクトでの成果

プロジェクトの第1回目からデザイナーとして参加、またコミュニケーションデザインも担当してきた松江幸子氏は、この活動の成果について語った。

松江:意外に、模範的にまとまろうとする力のほうが強く働くようで、「何やってもいいんだよ!」と言ってしまう場面が多 かった気がしますね。最終的には呪縛?から開放され、参加したなりの手応えは誰にでもあったと思います。 それは、結果としての形よりも、普段とは違う視点から形を導いた経験そのものかもしれません。例えば、今まで使ったことのない素材や、通常ではありえない スペック…つまり、商品となると価格との折り合いを常に考えなければいけないのですが、もっとニッチな世界にお客様がいることを想定し、実際に提案してみ て初めてわかることがたくさんあると思います。多くのお客様に見ていただいているプロジェクトなのに、その「プロセスが成果」だったとは、内向きな感想に なってしまうのかもしれませんが、個々のデザイナーの大きな糧になるのが、こうしたプロジェクトであり、結果としてブランドの魅力づくりにつながるのだと 思います。

丸山:通常の業務では、常にブランドヴィジョンを基準に、適切な形であらわすこ とを目指していますが、このプロジェクトでは、メンバー自身が基準になるものさしを探すことから始めなければなりません。その意味で普段、あたりまえに意 識しているコストやターゲット、技術的な制約条件などを、越えたとことにある「セイコーにとって何が必要なのか」、から始まって「自分の強みは何なの か」、「自分は何がやりたいのか」、突き詰めてほしいと期待してきました。
でも、何も制約がないとなると、素の自分をさらけ出すことになるので勇気がいるものですよね。普段とは別の意味で、ハードルが高いデザインへの取り組みになっていました。

そして2012年、新たな枠組みによる初めてのデザインプロジェクトが実施されることになった。

(続きは、12月上旬頃掲載予定です)

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