グローバル企業における、日本デザイン研究所の役割 LG Electronics Japan Lab.株式会社 日本デザイン研究所 社員インタビュー1回目 (2/3)

自然と表出する“日本らしさ”という貴重な価値観

自然と表出する“日本らしさ”という貴重な価値観

 

タッチ操作のインタラクティブ性を携帯電話に搭載した初めてのモデル「チョコレートフォン」は、2006年にまずグローバル市場で発売された。デザインとテクノロジーの組み合わせを背景に、世の中に対してLGがデザインを重視していくという印象を大きく与えた商品でもある。

“チョコレートフォン”「L704i」、2007年10月発売

 

森氏「チョコレートフォンの初代をベースとした次世代モデルは、韓国で提案されたデザインで高級感を目指してはいたものの、日本で受け入れられるテイストとは少しずれているという認識がありました。最終的には、日本市場向けに金型を新たに製造するところから開発をスタートしました。

日本人ならば、『無の境地』、『Less is more』といった言葉で表現できるように、素材や仕上げの技術からにじみ出る完成度に高級感を覚えるものですよね。そうした紆余曲折もあり完成したのが、日本向けにデザインされたチョコレートフォンです」

 

許氏 「本社からフレームのある機種を日本へ持ち込んだのは、高級イメージだから売れるだろうという見込みがあったからですが、やはり国によってデザインに対するテイストや求める条件が違います。それに応じるのも、各国のデザイン研究所の役割のひとつです」

日本がデザインブランチとして携帯電話のデザインに取り組むようになったのは2006年から。森憲朗氏が中心となり、内部の先行開発プロジェクトを進めつつ、外部デザイナーとのコラボレーションによる携帯電話の開発を並行して進めた。結果、最初に商品になったのは、「L602i SIMPURE L2」だ。それ以前にもグローバルモデルを日本向けにした携帯電話はいくつかあったが、LGが日本市場の携帯電話のデザインにも本格的に力を入れ始めたと認識されるようになったのは、この機種を発表した頃からである。

同年、本社がデザイン経営宣言を発表。“スタイリッシュデザイン&スマートテクノロジー”というスローガンを掲げた。

 

森氏「デザインは経営資源として非常に大切である、ということに加え、スマートに使いこなすためのテクノロジーが必要である、というLGの思想を社会に対して広く発表したスローガンです。デザインにおいて、シンプルさを追求するというような方向性を明文化したわけではありませんが、デザインセンターとしては、できるだけ線の要素を減らしてシンプルに見せていこうという動きは出始めました」

許氏「LGは携帯電話だけでなく、“黒物”と呼ばれるテレビやオーディオ製品をはじめ、様々な種類の家電製品を開発製造していますので、ひとつのデザインの方向としてまとめるのはむずかしいものがあります。目的が違うとそのデザインも違ってきますから、たとえばミニマルな方向性に変わりはないかもしれませんが、デザイン表現には幅があるといえるでしょう。  たとえば『スタイリッシュデザイン』と一言で表現しても、スタイリッシュという意味の捉え方は千差万別です。そのなかでLGが考えるスタイリッシュとは何か、少し噛み砕いた言葉をデザインアイデンティティーとして示しています」

 

それらが、「スタンドアウト」「ソフィスティケーテッド」「プレジャブル」「インスパイアリング・ライフスタイル」の4項目だ。LGのデザイン思想であり、同社が主催するコンペの条件としても告知されている。(コンペ詳細は9月末掲載予定)

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