チームワークから生み出された美容家電 パナソニック株式会社 インタビュー 3回目

女性の潜在ニーズを掘り起こした「頭皮ケア」

「女性は現状に満足しない生き物」。ビューティ・リビング事業部商品企画グループ スタイラ・アイロン商品企画チームリーダー 清藤美里氏は、女性特有の美に対する向上心に着目してきた。

清藤:とてもキレイになったとしてもさらに美しく、という願望欲求に応えられるよう、技術改良を重ねています。私自身はナノケアドライヤーのお客様に興味がありました。というのも、ドライヤーの平均単価3000円以下に対しナノケアドライヤーは高単価商品です。にも関わらず、初代が発売されてすぐに購入したお客様がいらっしゃる。その方々の関心がどういった方向にあるのかを定期的に調査してきました。そこから、髪の本質ケアに目を向けるようになったんです。

堂本 夏菜 どうもと かな
パナソニック株式会社 デザインカンパニー アプライアンスデザインセンター
2009年入社。配属後、頭皮エステのデザインを担当。その後、ポケットドルツ、ナノケアスチーマーなどを手掛ける。2013年からは「Mi-ta-me Up」シリーズのデザイン開発に主担当として携わっている。

髪の毛を表面上で美しくすることと、どんな違いがあるのか。美容の専門家に話を聞いたり、学会資料をあたったり、様々なアプローチで本質ケアを深堀りした結果、頭皮ケアにたどり着いた。ナノケアドライヤーと連携する商品と位置づけることで予算を得て、総合的な頭髪ケア商品開発が始まった。
シャンプー時に頭皮を動かしながら洗浄する商品「頭皮エステ」が発売になったのは、2011年。企画には5年もかかった。世の中のトレンドやニーズの変化とともに紆余曲折あり、なかなか形にならなかったが、デザイナーとして加わったのが当時、新入社員だった堂本夏菜氏。入社して手がけた、最初の商品になった。

堂本:当初は、頭皮ケアというと男性用というイメージが強く、それを払拭するデザインから考え始めました。女性が隠したくなってしまうものではなく、お風呂場に自然と置いてもらえるようにしたかったですね。

手のひらで包み込むような形の初代機を経て、シャンプーや石けんで手が滑るという意見も受けながら、2代目でも改良を重ね、現行の3代目では指をしっかり入れて持つ形に工夫されている。

新しい習慣を与えるデザイン

全く新しい習慣として提案する「頭皮エステ」。購入しても面倒くさく、仕舞い込んでしまうようではアウト。継続使用してもらうためには、日常的に手の届く場所に置いておけるサイズが必要だった。デザインにあたり、堂本氏は一般的なユニットバスの棚サイズを調べたという。

堂本:プロダクトとして可愛らしくしたかったので円形のデザイン案もありましたが、それだと外周が130ミリほどになり、洗面台や浴室の一般的な棚には乗らないことが分かりました。約94ミリが棚の平均的なサイズだったので、90ミリにしよう、と。でも丸みは残したいので全体的に大きなRをかけています。設計の担当者からも大きくしたいという意見が出ますが、デザインで絶対に譲れないのは大きさでしたね。1日のうちで頭皮ケアをするのはほんの4分程度です。残りの23時間56分をどう収めておけるか、充電はどうするのか…。使っていないときのスタイリングまで考えなければなりません。本体を乾燥させるためにも、ブラシ面を上にするのではなく水抜きトレイを用意するなど、お客様の生活スタイルに合うものでありたいと考えました。

本体は、頭皮をしっかり動かすための回転方向に即した正しい持ち方が決まっている。シャンプーをしながらでも手探りで間違えなく持てるように、細部にまで気を配った。

堂本:それまで男性用だと思われてきた頭皮ケア商品を女性でも違和感なく扱ってもらえる、認知してもらえるようになったのはひとつの成果だと実感しています。

ナノケアドライヤーと共に、パナソニックの美容家電を象徴する商品へと成長しつつある「頭皮エステ」は、男性用のアタッチメント、キャンドルの灯りを思わせる光るモードなど、ニーズに合わせて進化し続けている。 チームリーダーの村松悦司氏は、「最初に世の中に商品が出たときに、印象づける形は非常に大切。お客様がシルエットだけで記憶して、それを探しに店頭へ向かい、そこで見つけ出していただけるアイコン的なデザインを確立することが重要」だと強調する。

村松:デザインも企画も、設計の担当者もお客様の顔を思い浮かべながら考える姿勢に違いはありません。チームの全員が調査に立ち会い、人から聞いた調査結果ではなく、自分自身が聞いた生の声を咀嚼していく。デザインに求められる大切な姿勢だと考えています。

新しい市場を切り拓くデザインが、独善的であってはならない。求められる機能や習慣に最適な形を与えるのが、デザインの大きな役割のひとつだろう。


取材協力:
パナソニック株式会社
http://panasonic.jp/
パナソニックデザイン
http://panasonic.co.jp/design/


インタビュー:高橋美礼 撮影:永友啓美

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