冷蔵機能付き液晶ディスプレイ「AQUADIGI」 Haier インタビュー 3回目

冷蔵機能付き液晶ディスプレイ「AQUADIGI」

佐藤 周

佐藤 周 さとう まこと ハイアールアジアR&D株式会社 デザイングループ 2011年入社。日本国内向け冷蔵庫やトースターのデザインに従事。現在は主にベトナム市場向け冷蔵庫のデザイン及び、AQUADIGIのデザインに携わっている。

冷蔵機能付き液晶ディスプレイ「AQUADIGI」コンセプトモデル

冷蔵機能付き液晶ディスプレイ「AQUADIGI」コンセプトモデル

今秋、発売を予定している「AQUADIGI」は、前面扉に32インチのフルHD液晶パネル2枚を搭載している冷蔵庫。OSにAndroidを搭載しているので、その活用の可能性は大きい。たとえば、スマホで撮影した写真を表示することも、もちろんできる。かつてない発想が実現した新製品だ。 デザインを手がけたハイアールアジアR&D デザイングループ 佐藤周氏は、数多くのベトナム向け製品や、アクアブランドのトースターや冷蔵庫の開発にも加わってきた。

佐藤:最初は、冷蔵庫用着せ替えカバー「Colo-mo(コローモ)」をデジタルでできないか、という提案から始まったプロジェクトでした。新しいビジネスとして展開できるのではないか、という観点から開発に着手しています。液晶ディスプレイがあることで、画像が映せるだけでなくて、会話やゲームを楽しめたり、冷蔵庫内の管理もできるようになったり、と機能を広げられるところが当初からのポイントでした。プロジェクトが進む中で、液晶ディスプレイの方がビジネスの可能性が広がると判断され、冷蔵庫としてのウェイトが相対的に小さくなっていったので、『冷蔵機能付き液晶ディスプレイ』と呼ぶようになりました。

冷蔵庫の液晶板着せ替えというよりは、コミュニケーションツールやゲームなどのアミューズメントツールとしての機能が増えていきそうだ、という。

佐藤:従来の白物、黒物というジャンルを越えた製品ととらえデザインを進めており、インテリアに違和感のない横型タイプの製品もコンセプトモデルとして発表しています。機能としては、庫内の食材管理に活用する想定です。Androidと内蔵カメラを搭載しネットにも繋げられるので、庫内の食材管理とともに、たとえば店舗と連携して買物リストを自動的に更新し発注すること等も考えられます。手元のスマホの画面が、冷蔵庫に映し出される姿をイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。購入者自身が必要に応じて機能を拡張していけるものを目指しているので、我々がアプリケーションを用意していくことで、可能性はいくらでも広がるはずです。

デザイン開発は「6割発進でいけ!」

「AQUADIGI」はまずアクアブランドとして、日本マーケットから発売を開始する予定だ。現在少しずつ、東南アジアでもアクアブランドが浸透しているが、デザインでは日本国内でのニーズに重心を置いている。中国市場を意識したコンセプトモデルでは、扉の横に眩しいほどのブルーのLEDが装備されているが、これも日本市場向けに調整される予定だという。また、液晶の枠が見えないように装着しているスモークガラスも現在改良が進められており、LEDとあわせてブラッシュアップが続けられている。

佐藤氏、コンセプトモデルを前に

佐藤氏、コンセプトモデルを前に

「家具を目指す」と石浜氏

「家具を目指す」と石浜氏

佐藤:デザイン部門が伊藤CEO直轄になり、デザインの要望が通りやすくなったと実感しています。たとえば、冷蔵庫のヒンジの突起が上面に出てしまうのですが、その出っ張りをなくしたり、手前に出っ張ってしまう脚部にカバーを装着したり。このようなことさえ、以前は難しいこともありました。『なんでそこまでするの?』『価格が高くなるけど』などと言われて社内で通らなかった意見も、今はデザインが先行できる土壌が整ってきています。AQUADIGIの外観はできるだけフラットになるよう、技術と一緒に工夫を重ねています。

液晶ディスプレイに映し出すアプリケーションの開発まで視野に入れると、発売してからさらに機能性や使用環境を整えていくこともできる。ものを売って終わりではない。AQUADIGIでこれから実現するであろう課金ビジネスも視野にいれた、新たなビジネスモデルの第一章だ。 「目指すのは、家電ではなく、家具です」、とハイアールアジアR&D デザイングループの石浜真也氏は言う。

石浜:たとえば、住宅で使う家具にブランドロゴが大きく目立っていることはありませんよね。アクアはそういう立ち位置を意識しています。既存のカテゴリーにとらわれない新しい存在価値…。つまり、シーズやニーズが確実にある家電、あるいは、世の中にまだ存在しないから作ろう、という意識。どちらもバランス良く併せ持つことが大切だと思っています。

伊藤CEOは「6割発進でいけ」とデザイナーを激励するのだという。その言葉は、“間違っていることに気づいた時点で立ち止まればいいから、まずやってみろ”という大らかな懐から発せられたものに違いない。ハイアール アジアが目指すこれからの“家電”は、新しい価値を伝え、新しい可能性を伝えながら、新たな市場を切り拓いていくだろう。


取材協力: AQUA(アクア)|ハイアールアジアR&D株式会社 http://haierasia-rd.co.jp
インタビュー:高橋美礼 撮影:森口鉄郎

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