世界に目を向けて新定番を作る 株式会社良品計画 矢野直子インタビュー 1回目

世界に目を向けて新定番をつくる

原点に立ち戻る

Found MUJI 青山

Found MUJI 青山

無印良品はもともと、ものを作るというよりは「探す、見つけ出す」という姿勢で生活を見つめてきた。Found MUJIは、長い間、人々の暮らしの中で廃れることなく使われてきた日用品を世界中から探し出し、そのもののエッセンスを残しつつ、現代の生活に合わせて少しだけ改良し再生する活動。無印良品の基本への立ち返り、とも言える。始まったのは2003年のこと。世界中からさまざまな日用品を見つけ出すのは、企画デザイン室のデザイナーたちだ。

矢野:無印良品には、衣服雑貨部、生活雑貨部、食品部という3つの商品部があり、生活雑貨部の企画デザイン室は現在18名のインハウスデザイナーで構成されています。生活雑貨はさらに、ファブリック、ファニチャー、エレクトロニクス、ハウスウェア、ヘルス&ビューティー、ステーショナリーの6セクションに分けられています。そのすべてに関わる企画デザインを行なうので、社内の多部署と関わりながら、プロダクトやグラフィックというデザインの専門性にとらわれず、時には販促に関わることまで、その業務は多岐にわたります。

最近では海外出店も多く、現地で顧客に配布するノベルティのデザインなども企画デザイン室の仕事だ。そして、Found MUJIの活動を推し進める役割も担っている。

矢野:無印良品は創業当初、ものを選んでくるところから始まり、顔料を抜いたり無駄な装飾を省いたり、といった取り組みからスタートし、現在では型作り等、一からものづくりができるようになりました。一方で、無印良品が掲げてきた理念『探す、見つけ出す』という原点に立ち戻ったFound MUJIの活動も重視しています。企画デザイン室は、専門性も大切だけれど、多角的にもの・ことを把握してデザインできる人の集まりを目指しています。暮らしを提案することは、言い換えれば生活を俯瞰して捉えること。デザインをまとめあげるだけでなく、その提案をお客様に伝えることも重要なのです。

無印良品は「生活のOS」

矢野直子氏

矢野直子 やの なおこ
良品計画 生活雑貨部 企画デザイン室長
東京都生まれ。多摩美術大学卒業後、1993年、株式会社良品計画入社。2003年、夫の赴任でスウェーデンへ。マルメで3年過ごす。その間、業務委託でヨーロッパ〈MUJI〉に従事。ミラノ・サローネの展示やヨーロッパMUJIの商品開発に携わる。2008年、株式会社三越伊勢丹研究所(旧伊勢丹研究所)入社。リビングのディレクションを担当。2014年、良品計画へ再び入社。現在生活雑貨部企画デザイン室長を務める。

矢野氏が企画デザイン室長に就任したのは、2013年9月。2003年に企画デザイン室が発足した当時は、スウェーデンでEurope MUJIの仕事をしていた。

矢野:当時のデザイナー募集広告には『デザインしないデザイナー募集』とキャッチフレーズがついていました。つまり、個性だけを主張するのではなく人々の暮らしに寄り添える感覚が必要なのです。それこそFound MUJIに不可欠な姿勢だとも言えます。無印良品の商品は『生活のOS』。これがいい、のではなく、これでいい。その究極を追求するために形のデザインも重要になってきます。外部のデザイナーとの恊働からも学ぶことは多く、日々の広範囲な仕事でさらに各人のスキルは磨かれていると思いますね。

外部のデザイナーとは、アドバイザリーボードの深澤直人氏をはじめ、ジャスパー・モリソン氏、サム・ヘクト氏、コンスタンチン・グルチッチ氏ら、世界的に著名なデザイナーのこと。彼らと恊働して、世界で通用するものづくりを目指している。

矢野:実は2016年には、日本国内の店舗数と海外の店舗数が同じになる見込みです。無印良品ができた国は日本だけれど、それがどれだけ世界各地で通じるか真価を問われることになるでしょう。

グローバルな視点とローカルな視点、それぞれが響き合い高め合う。Found MUJIの活動は単なるイベントではなく、無印良品の本質を知るための存在でもある。

※次回は、2月12日に更新予定です。


取材協力:
株式会社良品計画
http://www.muji.com/


インタビュー:高橋美礼 撮影:永友啓美

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