制作実績アピールの方法と本質

作品だけじゃダメ

クリエイティブ業界の転職では「制作実績」のアピールが不可欠。その際は“作品だけ”出すのではなく、その作品の基本情報も添えるのが基本的な約束 ごとです。職務経歴書やポートフォリオでは、各作品の制作期間、メンバー構成と自分の役割、具体的な担当業務、制作環境・ツール、ものによってはクライア ント名や業種・業態、プロジェクトの目的・ターゲット・規模感などの情報も求められます(いずれも必須ではありませんが)。

なぜかって、例えば同じ作品でもそれを1週間で作ったのか3ヶ月で作ったのか、1人で作ったのか10人で作ったのかで、評価のしようがまったく異なるからです。こう考えると、妥当な作品の評価は基本情報なくしては成しえないのが至極当然のことに思えてきますよね。

「作品+基本情報」にもう一つ加えたいもの

しかし、先に挙げた基本情報はあくまで“調べて書く”のみ。必要な項目さえわかってしまえば、あとは皆さんあれこれ過去の資料をひっくり返して書き 添えられるものです。ここでもう一つ、「これも入れておくといいですよ」とお伝えするものの、なかなかつけ加えてもらえないのが“作品をアピールする文 章”です。まぁ見た感じからして明らかに面倒くさそうですよね…。

ただ、「制作期間:3ヶ月」と書くだけでは、「その作品を作るのに3ヶ月かかるのが大変かどうかは、あなたのほうで汲み取ってください」と読み手に解釈をゆだねている状態。「アピールする」というのは、もう一歩踏み込んで“その事実をどう解釈するか”まで相手に伝えようとする行為です。自分の今後の可能性や思い入れをしっかり伝えたければ、それを頑張って“文章に起こす”必要があります。

作品をアピールする文章づくり

文章を起こすと聞いただけで「ムリ!」と拒否反応を示す人もいるかもしれませんが、要点をおさえた文章を数行添えるだけで、作品の見え方は大いに変わってきます。数は限定して結構ですから、自分がアピールしたいスキルが発揮され、成果に貢献したと思う作品を選んで、次の3ステップに乗せて文章にしてみましょう。

「作品をアピールする文章」の3ステップ
「作品をアピールする文章」の3ステップ

最後の「根拠」を示すのはちょっと難しく感じられるかもしれませんが、自分のした仕事の良質さを人に理解してもらうためには客観的な裏づけを合わせ て提示することが不可欠です。「前回と比較してどう良くなったか」「他社と比較してどう良質だったか」「一般的な水準に比べて何が圧倒的に違ったか」「ク ライアントからどんな評価をもらったか」と、自分の考えや行動から離れて、外部を巻き込んだ情報提示をすると客観性が出ます

作品アピールから自己アピールへ

作品アピール文をまとめたら、それを“自分をアピールする文章”に発展させていくと、非常に説得力ある自己プレゼンテーションができます。これまでに振り返った制作経験を踏まえて、次のことをあれこれ洗い出してみてください。

制作過程で学んだこと、身についたこと

その制作過程で工夫・配慮・苦労した結果、その前までは知らなかったりできなかったのに、わかったりできるようになったこと。

制作を終えて見えてきたこと

制作を終えて、自分にはまだまだ足りないなぁと感じたこと。これからはこういうことをしていきたいなぁと思ったこと。苦手・嫌いだと思っていたのに、好き・面白いと思うようになったこと。これまでは軽視していたのに重要だなぁと思い直したこと。

その経験を通じて変化した自分の行動

その経験の後、日常的にやるようになったこと。その経験を通じて見えてきた課題と、それに向かって今取り組んでいること。

制作実績を踏まえてこういったことを自分の言葉でつむいでいくと、あなたがこれまでの経験を通じて習得した再現性あるスキル、経験を糧に今後も成長が期待できる学習能力、価値観や人間性の面からみたあなたならではの魅力が自然体でアピールできますよ。

作品そのものは、あくまで“説得材料”

作品の制作現場では、もちろん“作品そのもの”に価値がありますよね。でも、就・転職活動における作品は、あなたの再現性あるスキルや今後の可能性 をアピールするための“説得材料”であって、過去に作った作品そのものに価値があるわけではありません。冷たい感じに聴こえるかもしれませんが、採用する 側は「あなたの過去の栄光」を買いたいのではなく、「あなたの今後の可能性」を買いたいのです。

あなたにとっても、過去の自分ではなく、未来の自分に期待してくれる場に身をおくほうがきっと幸せですよね。「あなた自身の魅力をアピールする説得材料として最大限に活用する」、そういうスタンスで、ぜひ自分の作品について語る言葉を作り出していってください。

(デジタルスケープ キャリアカウンセラー 林真理子)

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