関連づけるチカラ

おかざき真里「サプリ」が秀逸

皆さん、マンガってよく読みます? 私はここ数年で唯一読んでいるマンガが、おかざき真里さんの「サプリ」なんですが、ご存知でしょうか。ドラマ化もされていたようですが、それの原作がお気に入りなんです。

サプリ 6 (6) (Feelコミックス)
サプリ 6巻(現状の最新刊)
おかざき真里(著)

主人公は大手広告代理店の制作局に勤める28歳の女の子(と言わせてください…)。とある回想シーンで、入社2年目の彼女が新人研修に登壇し、1年先輩として経験談をレクチャーするんです。その質疑応答のシーンが秀逸。

新入社員から、「配属されてから『これは自分のやりたかったことじゃない』って思ったことないですか?」と質問を受ける。これに対して作者のおかざき真里さんは、主人公になんて応えさせたと思いますか?(私のイメージでは、ものすごく落ち着いた声でゆっくりと…)

そもそも 自分のやりたい事があらかじめ社会に職業として用意されてるわけないと思いますが?

「なんてスゴイ一言を創造する人なんだ!」と、この一言でおかざきさんのとりこになってしまいました(第3巻参照)。この作品、こんなしびれるセリフが随所に埋め込まれていて、ほんとこれはお薦め図書です。

サプリ (3) (FC (373))
サプリ 3巻
おかざき真里(著)

関連づける力は仕事の基礎体力

さてさて本題。先のセリフにあるとおり、「自分のやりたい事」がそのまま社会に用意されてるなんてそんな都合のいいことはないわけです。

自分のやりたい事を自分の仕事として成立させるためには、それが会社にも社会にもおいしい価値を生み出すように、自ら頭ひねって人に働きかけて道筋をつくっていく必要があるんですよね。当たり前っちゃー当たり前の話ですが、なかなか見落としがちな真実です。

そして、ここで必要とされるのが「関連づける力」。ちょっと抽象的ですが、だからこそこの基礎体力を鍛えることで、「自分のやりたいことを仕事で実現する」に留まらず、様々な可能性へとつなげていくことができます。

キャリアデザインにみる、あれとこれの関連づけ

というわけで、実際どんな関連づけが考えられるのか、キャリアデザインの観点からその展開例を3つほど紹介してみたいと思います。

自分のやりたい仕事を、会社のミッションに関連づけてみる

期初・期末の目標設定や業績評価、プロジェクトの始まりと終わり…。こういった節目では、会社や所属部門が達成したいこと、そのために自分に期待されることをひと通り受け入れてみて、それと自分のやりたい事をどういうふうにつなぎあわせて捉えると、お互いのメリットが最大化できるのかを落ち着いて考えてみることが大事。

今の職場がちょっといやになっちゃってる人も、慌しい毎日目的を見失いかけている人も、一段高いところに視点を移して自分の仕事を捉え直してみると、とても健やかに、また向上的に、会社とも対等な関係で仕事に取り組めるようになります。またフリーランスの方や事務所を経営されている方などは、会社を社会に置き換えて考えてみると良いでしょう。

今やっている仕事を、今後の仕事に関連づけてみる

今自分が手がけている仕事やちょっと前に終了した案件を振り返って、次の案件や職場が変わっても活かせるノウハウを掘り起こしたり生み出したりするのも、有効な関連づけです。

短納期の仕事だと、なかなか仕事やりつつノウハウ化しつつとはいかないでしょうが、プロジェクト終了直後に少しでも時間をとって、今後に応用できるものをライブラリ化したりテンプレート化するようにする、もう少し広い意味では類似案件が発生したときに抜け漏れがないように業務フローをまとめておくなどすると、業務効率や精度UPにつながりますね。

長期的なキャリア形成の観点からみても、こういった取り組みは、自分の経験をノウハウ化(一般化/概念化)して自分のスキルとして定着させる筋力が養われるため、自分の市場価値を上げるのに大変効果的。

普段の生活と、自分の仕事を関連づけてみる

テレビや雑誌で見聞きするもの、出かけた先で目に触れたもの、電車の中で聞こえてくるおしゃべり、取引先の○○さんが言っていたこと、政治・経済から日常の1コマまで、普段の生活で触れるありとあらゆるものは、関連づけの片側の要素と考えられます。

そしてもう片方にくるのが自分の仕事。1クリエイターとして、特定の専門性をもった職人の目を意識して日常生活を見渡すようにすると、鍋の形も中吊り広告のコピーも街ゆく人のファッションも、また違った表情をみせてくれるものですよね。

それが直接的に仕事につながるケースは決して多くはないと思いますが、こういうプロセスの積み重ねが後々創るものの豊かさに確実に反映されていくのだろうと思います。

関連づけ思考を習慣にする

こういった関連づけを「習慣」になるまで意識的に続けると、意欲的に仕事に取り組めたり、職場の業務効率が上がったり、日常生活の中でもいろいろ新しい発想が生まれたりと、健やかな毎日につながっていきますよね。

すでに習慣になっている方も少なくないと思いますが、まぁ逆になんでもかんでも作り手視点で見てしまって疲れ果てちゃっている人に関しては、「今日はとことん1生活者になりきろう」って意識してみるのも新しい発見の道かもしれません。

(デジタルスケープ キャリアカウンセラー 林真理子)

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