「やってみないとわからない」という話

この半年間3人1テーマで、キャリアの転機の迎え方から具体的な転職活動のポイントまで順を追ってお話してきました。今回からは、毎回テーマを変えて個々にコラムを展開していきます。第1回は就職・転職活動にあたって重要となる、「動機と行動と振り返り」について。

動機は不純で構わない

世間の素晴らしい達成の85%までは、不純な動機から始まっています。─ 村上春樹

…という、ちょっと遊び心ある格言から話を始めましょう。このサイトを訪れている皆さんは、少なからずデジタルコンテンツの制作に関心を持ち、それを仕事にしているか、そういう仕事に就きたいと考えている方ですよね。では、そんな仕事に就きたいと思った時の動機ってどんなものでしたか?

  • ○○さんが創った○○という作品にインスパイアーされて!
  • 女の子にもてそう
  • 業界が華やかそう
  • 稼ぎが良さそう
  • 家で仕事できてプライベートと両立できると思った
  • 制作職に就けば苦手な人づきあいから逃れられると思った
  • デザイナーって響きがカッコイイ

…など純粋なものから、不純なものまでいろいろとあるかと思いますが、仕事に就いた人からは「実際は全然違うじゃん…」という声もよく聞きます。結局のところ動機なんて実は何でもよくて、就きたい仕事に就けたのであればハッピー。当初イメージしていた魅力とは別の魅力で仕事ができているのであれば、それも結果オーライ。そもそも何が純粋で、何が不純な動機なのかも実に曖昧なもののように思えてきます。

要するに、動機とは行動する機会であって、「皆さんのチャンスを広げる」という独立した機能を果たせればそれでOK、その後はその後の話ってことです。

まずはその仕事の実際に近づいてみる

動機なんて何でもいいってことになると、このコラム自体何が言いたいのかよくわからなくなってしまうわけですが、実はここからが本題。つまり、人のキャリアっていうのは、「何がきっかけだったか」が問題なのではなくて、「どういうアクションをして就きたい仕事に歩み寄っていくか」「そこからどういうふうにそのキャリアを積み上げていくか」が重要だということです。

動機が何であれ、なりたいと思える仕事にめぐり合えたなら、まずはその仕事の実際に近づいてみること。近づいてみるとは…

「○○デザイナーになりたい」→「○○のデザインをしたい」

…と、意識の転換を図るということです。とにかく実際に頭を動かして手を動かしてモノを作ってみて、それを仕事としてやりたいと思うかどうかの確認作業を行うことが重要です。

次に頭と身体を動かしてみよう

さまざまな動機には「長く続けたい」アタリもあれば、「もうこりごり」なハズレも結果として出てきます。アタリかハズレかは多くの場合、実際に頭と身体を動かしてみないと自分の答えがわかりません。…というと、なんだか埒のあかない話に聞こえるかもしれませんが、言い換えれば「実際に頭と身体を動かしてみれば、それをしたいのかしたくないのかも自ずと見えてくる」ということです。

  • 入門書を買ってとにかく一冊まるまる手を動かして操作してみる
  • かっこいいと思うものを真似て作品を作ってみる
  • 作ったものを人にプレゼンして売り込んでみる

などなど具体的なアクションはいくらでもできます。そして、「やってみてどうか」の自己評価をする。就・転職や職種転換を検討する際は、まずはじめにこのプロセスを必ず行ってみることをおすすめします。

「やってみてどうか」の振り返りが大切

ちなみに「仕事としてそれをしたいかどうか」も重要なチェックポイント。ただ、これは実際に仕事に就いてみないと分からないことが多いものです。仕事に就いてからも定期的なチェックはぜひ行ってみてください。

「仕事としてそれをしたいか」がYESならば、もう一歩進んで「今後どっち寄りの仕事にシフトしていきたいか」を考えてみると良いですよ。Web業界でいえば、サイトの運用更新業務からスタートを切ったとして、今後の方向性はどっち寄りなのかを考えてみます。デザイナー、コーダーなどスキルを専門特化していく方向もあれば、プログラミングができるデザイナー、ディレクター兼デザイナーなど守備範囲を広げていく方向もありますよね。

キャリアは計画どおりに進まないもの

キャリアに関する考え方に「Planned Happenstance Theory(計画された偶然理論)」という理論があります。スタンフォード大学のクルンボルツ教授が提唱したもので、

人生ってそうそう自分の計画どおりには進んでいかないじゃない? いろいろ予期しないこととか起こるし。だから、最初からガチッと計画を固めてそれ通りに進まなけりゃ『もうダメだ』と放棄してしまうのではなくて、いろんな偶然やめぐり合わせに柔軟に対応していって良い風をうまく捕まえること、目の前に起こる問題を解決しながら自分のキャリアを少しずつ方向付けていくことが大切なんだよね。

…というようなことを言っているわけです。

頭でっかちに考えて立ち止まったまま過ごしてしまうより、Plan(計画)-Do(実行)-See(評価)のサイクルを繰り返していった方が、新しいものを吸収しながらより自分らしいキャリアに近づいていけるはず。「See」は意識をしないとどうしても抜け落ちてしまいがちです。

このコラムをきっかけに、少し時間を作って自己チェックを行っていただければ嬉しいです。

(デジタルスケープ キャリアカウンセラー 林真理子)

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