「ハスラー」 ライフスタイルを広げ、新しい「楽しさ」を生むデザイン スズキ株式会社 インタビュー 1回目

シルエットから導き出す個性

蒲原 充 かまはら まこと
四輪技術本部 四輪デザイン部 エクステリア課
1992年入社。ハスラーの他、ラパン、セニアカーのエクステリア。ジムニー、ワゴンR、アルト、エリオのインテリア。スズキLC、PIXY&SSCのコンセプトカー。海外モデルではSX4に携わる。現在は先行デザインを担当。

 

新型ハスラーのコンセプトは「今までなかった新ジャンル アクティブなライフスタイルに似合う軽クロスオーバー」。開発当初から、「楽しそうな印象を与える軽自動車をデザインしてほしい」という課題が与えられていたと、エクステリアを担当したデザイナー、蒲原充氏は振り返る。

蒲原:たとえば、ワゴンR、MRワゴン、ジムニー、などの歴代のワゴン・SUV系の車種と違って見えて、さらに“楽しそう”だと感じてもらえること。そのためにまず、全体のシルエットを比べて検討しました。空間の広いワゴンタイプのクロスオーバーであることが、ハスラーのキモとも言えると思います。
動きを感じるボックス形状が作りたくて、Aピラー(注:フロントガラス両側の支柱)をぐっと起こしてキャビンを前傾させているのがハスラーの基本骨格です。
イメージしたのは、床にポンと置いてある道具箱を持ち上げようとした時、進行方向に重力がかかって箱が傾き、動きが伝わった瞬間です。ルーフ(注:屋根)の後端に張りを持たせ、さらに全体的に動感を強調したり、少しだけデザインの座りを良くするように、サイドウィンドウをちょっと下げてバランスをとったりもしています。

全体のシルエット、左からHUSTLER、WAGON R、MR WAGON、JIMNY

一般的に軽自動車は普通車に比べてドア断面が薄くなる。ハスラーではあえてブリスターフェンダー(注:外に膨らんだタイヤを覆う枠)を強調している点も形状での工夫のひとつ。

蒲原:動きのあるキャビンに、ボコッとブリスターフェンダーを取り付けたような形ですね。軽自動車は断面を多く取れないためボリュームを出しにくいのですが、ハスラーでは車体に対して下向きに食い込むような断面を多用しました。それによってほんのわずかですけれど、ブリスターフェンダーやボディーサイドの張りが強調されています。

また、大径のタイヤ装着とサスペンションストロークの変更によって、余裕ある最低地上高を確保し、ラフロードでの走破性を高めた。単に斬新というだけでなく、スズキが築き上げてきたSUVの世界をしっかりと継承しつつ、新鮮な印象を十分に与えている。

プレゼンテーション時のエクステリアデザイン案

スズキのヘリテージを生かす

キャラクターを特徴づける目となるヘッドランプのデザイン案

エクステリアデザイン案が決まった後のスケールモデル

決定したエクステリアデザイン案のスケッチ

 

蒲原:四駆には四駆らしい記号性を持った形がありますが、スズキの場合にはそれが、ジムニーなどに受け継がれてきた、丸目のヘッドランプやバンパーの存在感などだと言えると思います。全体のバランスとして、キーになるディティールです。

蒲原氏がそう語るように、強調されたバンパーやフェンダー、ヘッドランプは進化させた形で踏襲しているスズキの財産だ。
その一方で、ハスラーでは斬新なチャレンジにも成功している。エンジニアとデザイナーだけでなく、営業担当者をはじめ関わるすべての人が一丸となって取り組んできたからこそ成し得た開発だったと言う。

蒲原:SUVは開発チームも大好きなので、ともすると男性的なデザインに偏りがちになりますが、軽自動車のユーザーは半数が女性です。ハスラーの開発では、女性の意見も積極的に取り入れてきました。最終的には、年齢性別関係なく、アクティブな人たちに使ってもらえる軽自動車になったと実感しています。
アイデアが固まった段階で、改めて想定ユーザーの調査も行ないました。スケールモデルを確認するのと並行して、例えば海辺でサーフィンをしている人たちに『スズキの者ですが…』と声をかけてリアルな感想を聞いたり、アウトドアを楽しむときにどんなことが求められているかインタビューしたり…チーフエンジニアも一緒にみんなで行ったんですよ(笑)。リアルな意見は非常に役立ちます。

開発の途中から、ターゲットそのものが全方位に広がっていった。道具として利便性の高いパッケージなので性別も問わない。社内では「きっと老若男女、幅広く好かれるに違いない」という思いも高まった。その見込みに間違いはなく、ハスラーは発売後すぐに、年齢性別を問わない売れ行きを記録している。

蒲原:エクステリアでは、いわゆる“顔”となる表情にも最後まで気を配りました。誰にでも愛嬌を感じてもらえる表情付けをしたいと思いましたし、ルーフの塗り分けラインをエクステリアに取り入れる考えも当初からあったので、動きを感じられるような印象とともに、強い個性を目指してデザインしてきました。

その狙いは、世界観を増幅させるインテリアや、キーカラー3色の設定やルーフの2トーンカラーを導き出したカラーデザインとも密接に結びついて実現できた。

※次回の更新日は6月11日に公開予定です

トップへ戻る

マイページログイン

デジタルスケープに登録する