「レンズスタイルカメラ」 人がやらないことに挑戦し続ける ソニー株式会社 インタビュー 3回目

直感的にわかりやすいインターフェース

使い方を実演しながら説明する赤川氏

スマートフォンと離してリモート撮影できるので、自分撮りにも便利

レンズスタイルカメラでは、使い慣れたスマートフォンの可能性をさらに広げるための画面デザインにも細かな工夫がなされている。UIデザインを担当した赤川聡氏にさらに話を聞いた。

赤川:画面のデザインとしてだけ捉えるのではなく、ユーザーひとりひとりの使い方 まで想像しながら考えることが大切です。UIデザイナーが少し踏み込んで、「こういう使い方をするようだから、画面のデザインやフローをこうしてみよう」 と何度も試行錯誤を重ねています。スマートフォンだけでなくタブレットにも対応するため、画面のデザインはそれぞれにふさわしいスケール感、指が触れる場 所を考慮したボタンの大きさなど、あらゆる端末で不都合なく使えるためのデザインを心がけました。

例えば、画面にモード機能などをすべて表示するパターンと、シンプルに撮影ができるように画面には何も表示されないパターンを選択できるようにするなど、異なるユーザーのケースを想定して、ていねいに検証しながら決定されたデザインだ。

赤川:難しかったのは、レンズスタイルカメラの2種類で異なるスペックをカバーしなければならないことですね。いかに簡単に、ユーザーが迷うことなく使いこなせて、さらに新しいインタラクションが起きるか。そこにはかなり時間をかけたと思います。

ソニー製品初の円筒形パッケージ

レンズスタイルカメラの個性は、まるで普通のカメラから切り取ったかのようなレンズだけの形に 凝縮されている。この個性をさらに印象づけるのは、円筒形の製品パッケージだ。デザインを担当したコミュニケーションデザイン統括グループの野澤和倫氏 は、これまでに表現したことのない新しさを追求した。

野澤和倫 のざわ かずのり
プロデューサー/デザイナー
2006年株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント入社。ゲームのグラフィックやサイトデザインを担当。2012年からソニー株式会社でカメラ全般、カーオーディオのコミュニケーションデザインを担当している。

野澤:円筒形のパッケージは、初めての試みです。通常では四角になるものですが、ひと目見ただけでプロダクトの個性がわかるように、パッケージでも円筒形を強く主張しました。

パッケージは、製品紹介のホームページ上に掲載されない。単純に輸送のためのツールという位置づけが一般的だ。しかしレンズスタイルカメラではプロモーションやギフトと捉えデザインを提案したという。

野澤:店頭で目を惹き印象に残る。パッケージを話題性のあるディスプレイツールに したいと考えました。上下の筒の合わせが深く、開けるまでに少し時間がかかりますが、その空気の重みを感じるゆっくりとした動作に期待感を感じてもらえた らと。カメラという精密機器を円筒形で運ぶのも難しかったのですが、緩衝剤となる内側の構造で解決することができました。

パッケージは全世界共通。そのため、箱への記載は日本語以外にも英語、フランス語など数カ国語の表記が必要で、注意事項がびっしりと記載され、煩雑になりがちだ。

(左)内箱はコミュニケーションカラーのシナバー  (右)レンズスタイルカメラの個性である円筒形をパッケージにも踏襲

野澤:そういった文字が多い面とそれ以外のシンプルな面をきちんと振り分けていま す。特に内側は文字量が多いのですが、グラフィックとしてまとまり感のあるデザインで違和感を減らせたと思います。円筒形なので、店頭で倒れたり転がった りするのではと懸念はありましたが、底面の面積を計算し、重心を下にしてバランスを保つなど工夫したので、簡単に倒れることはありません。

「レンズスタイルカメラが、より高度な写真を撮る楽しみを引き出します」

スマートフォンで写真を撮る機会は今後もまだまだ増えると見込まれる。しかしレンズスタイルカメラの登場によって、カメラにも活躍の余地があることがわかり、より高度な写真を撮る楽しみを見出すきっかけも生まれた。

山田:スマートフォンだけでは、豊かな映像体験に触れる機会は少なかったかもしれ ません。レンズスタイルカメラはその魅力に引き込むツールになるのではないかと感じています。ソニーが創業当時から掲げてきた「人のやらないことをやる」 というスピリットは、いまも我々が持ち続けているものでもあり、世の中からもそう期待されていると感じています。

ソニーだから実現できた前代未聞のカメラは、スマートフォンユーザーに未体験の喜びや興奮を与えながら、いつしかスタンダードな撮影スタイルへと発展するのかもしれない。

インタビュー:高橋美礼 撮影:永友啓美

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