グローバル企業における、日本デザイン研究所の役割 LG Electronics Japan Lab.株式会社 日本デザイン研究所 社員インタビュー1回目 (1/3)

グローバル企業における、日本デザイン研究所の役割

グローバル企業における、日本デザイン研究所の役割

LG Electronics Japan Lab.日本デザイン研究所は、韓国・ソウル本社のデザイン部門の機能を分社化する形で1993年に設立された。その背景には、本社内で展開してきたデザイン活動を基に、よりグローバルなトレンドや技術の把握、ネットワーク面の強化といった目的で、海外拠点にデザインブランチを置く必要性の高まりがあった。

森憲朗氏は、日本人初のデザイナーとしてLG Electronics(以下、LG)に入社。日本デザイン研究所の所長としてその地盤を固め、携帯電話のデザインでは外部とのコラボレーションプロジェクトを推進してきた。また、LGが主催するデザインコンペティションでは、革新的な発想を積極的に発信し続けている。

許丁元氏はソウル本社で携帯電話のデザイナー、デザイン戦略、デザインアウトソーシングの担当として活躍した後、2008年に日本デザイン研究所に着任。2010年からは森氏の後を継ぎ所長という立場で日本と本社をつなぎ、新たなデザインの可能性を引き出している。

許氏「設立後、最初の数年間は、まずデザインリサーチやネットワーキング、日本にあるデザインスタジオとのデザイン開発が活動の中心でした。LG全社の売り上げの80%以上は韓国以外の世界各国によるものです。グローバル市場への対応という意味で、LGには、日本の他に中国、イギリス、インド、アメリカの5カ所にデザインブランチオフィスがあります。それらの国と比べて日本が明らかに異なるのは、世界をリードする電機メーカーが多数あり、そのために良い人材が多く育っているということです。さらに特徴的なのは、日本発でグローバル展開する製品についても、マーケティング手法が確立されていることです。こういった理由から、日本が持っている力をもっと発揮してもらうべきではないか、ということで、2000年代に入ってからデザインそのものに力を入れるようになってきました」

「現在は、日本人デザイナーから生まれるインサイトとデザイン力を活用し、LG全社の動きに貢献することを目指し、携帯電話をはじめとする日本向けのデザイン開発とグローバル向けのデザイン開発、両方を進めています」

許氏(左)と森氏(右)

 

「日本デザイン研究所に着任以前、私は韓国本社の携帯電話デザイン部門であるMCデザイン研究所に所属していました。ソウルにも携帯電話を担当するデザイナーはたくさんいますが、日本人デザイナーと仕事をして感じていたのは、感性やデザインアプローチが全く違うという点です。私だけでなく、本社の上層部も着目していました。ですから、森を筆頭に、その後も人材を増やしてデザインに力をいれるようになり、今では数多くのプロジェクトを進めるようになりました」

採用時には、デザイナー個人の能力だけでなく、LGが目指すデザインの方向性と個人の個性がどれだけマッチングできるかという側面を重視しています。

プロジェクトには、日本だけで動かしたり韓国本社と進めたりと、様々なアプローチがあります。日本人デザイナーのノウハウや感性から生まれたものをソウルに集約することもあれば、逆に、本社内にも経験を積んだ素晴らしいデザイナーがたくさんいますので、彼らからスキルや社内でのプロセスを学ぶ機会もあります。そういったインタラクションは頻繁に行っています。

日本デザイン研究所を立ち上げた理由のひとつに、本社では生まれなかった発想への期待がありますので、日本デザイン研究所には日本のデザイナーが適していると考えています」

 

デザインというのは、デザイナーひとりひとりの能力や経験値が不可欠だ。しかしインハウスデザイナーという立場では、その企業の文化にも照らし合わせたコンセプトやスタイリングが求められる。日本デザイン研究所のデザイナー採用は日本で独自に動くが、採用過程には本社の人事戦略も反映されている。

 

許氏「日本のデザイナーは、細部にまで洗練された完成度を求める特徴があり、そこが他国と比べて優れていると思っています。私の場合はイタリアへの留学経験もあり、その当時から感じていたことでもありますが、実社会においても、日本人はデザイナーとして非常に真面目で、細かいところまで考えてデザインし、信頼がおけると感じています」

「年末に、ソウル本社で全デザイン部門の成果を発表する機会があるのですが、昨年の報告会で話題となったのは、日本の活動報告でした。どういった状況で見せるか、ライティングやセッティング方法、説明のシナリオまで用意して臨んだのです。デザインだけでなく、そうしたデザインのプレゼンテーションに対する心配りについても、ソウル本社では非常に高く評価しました。他の海外ブランチオフィスには、そこまで考えるデザイン部門はありませんでした。考える必要がないと思っているのではなく、そこまで配慮しない、というニュアンスなのですが…。日本は細部まで大切に、気を使います。考える、という基本的な心持ちが備わっている点は、大きな個性でもあるのです」

 

森氏「日本はメーカーのインハウスデザイナーが多いことも特徴です。インハウスデザイナーは、金型の作り方から、具体的に商品化するための知識もあり、量産化への現実感を強く持っています。日本デザイン研究所には、前職でメーカーのデザイナーをすでに経験している者も少なくないので、もともとLGが築いてきた量産化のステップとは異なる知識を持っている場合もあります。そうすると新たなものづくりができるという発展性も期待できます。また、デザイン経験者を募集すると、ポートフォリオから容易に推察できるほど、優秀なキャリアを持った人材が多く集まります」

トップへ戻る

マイページログイン

デジタルスケープに登録する