チームワークから生み出された美容家電 パナソニック株式会社 インタビュー 2回目

美容家電を牽引するヘアードライヤーの存在

パナソニックが展開する美容家電の代表格とも言える「ヘアードライヤー ナノケア」。2005年の発売以来、機能性の改良に合わせて本体色を変えている。デザインカンパニー アプライアンスデザインセンターの村松悦司氏は、形状そのものはデザインアイコンとして受け継がれていると語る。

村松:ナノケアドライヤーの基本形状はほとんど変えていません。『風の形』というコンセプトで一貫しています。ドライヤー自体は風を作り出して髪を乾かすものなので、風を形にしたようなできるだけ凹凸のないなめらかな曲面というのがひとつの考え方。それに合わせて、スイッチや表示部などに代表される使い勝手を進化させるとともに、本体色を変えてきました。
色を変えるといっても、カラーモデルをいくつも作って検証を重ねて決定に至ります。
店頭映えだけでなく、お客様の自宅に置かれた場合のことが大切なんです。『ナノケア』のヒットによって、単なるヘアードライヤーが美容家電に格上げされたとも言えるのではないでしょうか。仕舞われることもありますが、インテリアの一部になるということも考えなければなりません。『ナノケア』は、ビューティー関連商品の顔ですから、そのデザインには非常に時間をかけますね。

渡邊 亜弥 わたなべ あや
パナソニック株式会社 デザインカンパニー アプライアンスデザインセンター 主任意匠技師
1996年入社。美容商品を皮切りに、空気清浄器などの生活家電、マッサージチェアをはじめとする健康家電のデザイン開発を担当。現在は、フェイス/ボディケア商品・ヘアケア商品のプロダクトデザインおよびカラーリングプランに携わる。

形状も大切だが、使う人の気持ちに作用する色の力にも非常に注目している、と話すのは、デザインカンパニー アプライアンスデザインセンターの主任意匠技師、渡邊亜弥氏だ。特に本体色の展開で「ナノケア」に関わってきた。

渡邊:女性がひとつの色を手に取るとき、言葉では『赤が好き』『ピンクが好き』と表現していても、実は持っている自分が人からどう見られるか、自分がどういう気分になるか、といったように心の動きはさまざまです。色そのものの流行も影響しますから、毎年、丁寧な検証は不可欠だと考えています。

「ナノケア」のデザインは、代々の担当者で受け継がれてきた。コンセプトを守り続け、デザイナーを始めとする関係者全員が、ひとつの流れを把握している。

渡邊:ビューティー商品の柱の一つに育ったナノケアドライヤーは色に対する注目度も大きい。その意味で、お客様へのメッセージがストレートに伝わるようにカラープランを考えていますし、お客様の反応がダイレクトに返ってくる商品でもあります。『ナノケア』のハイエンド機種から他のビューティー商品に展開する色も幅広いので、チーム全体で熟考し、各商品に色の考えを落とし込んでいくことも多いですね。

世の中の流れを反映するデザイン

ナノケアドライヤーでは、2010年に初めて鮮やかなビビッドピンクを採用した。ペールトーンが主流だった当時、社内では猛反対にあったというが、ビューティー商品群を代表する商品であっただけに、チームが一丸となって新しい色の企画を通そうと試みた。そうして、やっと登場したのがビビッドピンクだった。結果、優れた販売実績を残し、以降はビューティー商品を代表する色になっている。

渡邊:色は持ち主の価値観によって変わってきます。ピンクは本来、人の気持ちを高揚させる色。控え目な色が鮮やかに変わってビビッドピンクが受け入れられた訳ですが、それは、手に取ったときの気持ちが高まる経験を多くのお客様に共有いただけたからだと思います。当時のCMに代表されるように、働いている忙しい女性をもっときれいにしよう、というイメージもぴったりでした。

彩度が最も高いビビッドピンクの成功は、追随を生むなど、市場にも大きな影響を与えた。ビューティ・リビング事業部商品企画グループ スタイラ・アイロン商品企画チーム チームリーダーの清藤美里氏は、次のように分析する。

渡邊:店頭で足を止める動線やアプローチ方法を考えたときにも、本体色は白よりも鮮やかな色が目を引くのは当然です。その意味では最初、ビビッドピンクも“魅せ色”という考え方でも構わないから、ぜひ作っていきたいと考えてきました。もともと美容家電はニッチな市場です。だからこそ、チャレンジ精神は強く持っているべきだと思っています。

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